『日経サイエンス2018年1月号』


心のなかの独り言 内言の科学 C. ファニーハフ

心理学では、声に出さずにいう独り言を「内言inner speech」、声に出して言っている独り言を「私的会話private speech」と呼ぶらしい。
1920年代、ピアジェは、子どもはまだ他人の立場にたって考えられないので、なんでも声に出して言ってしまうので「私的会話」が多いが、それが次第に他人の立場もわかるようになっていくことで、減っていく、と考えた。
1930年代、これに対して、ヴィゴツキーは、子どもは、他人とのコミュニケーションにおいて成功したことをもとに、それを自分に対しても使っているのが「私的会話」なのだと考えた。
相手に対して何かをいって、それで相手が動いてくれたという体験をもとに、自分に対して、自己制御をするのに使っている、というような考え。
近年の研究は、ヴィゴツキー的な考え方により親和的。
筆者が1990年代に内言の研究を始めたときはまだ全然なされていなかったが、この20年で急速に研究が進んだ分野だとか。
fMRIによる研究
ノローグ型の内言とダイアローグ型の内言において、活動している脳部位と、声に出して話しているときの脳部位などを比較
言語野だけでなく、社会的知能と関わっている部位も働いていることが分かった。
内言は、ダイアローグ型のが多いとか。
また、実験において、実験者から言われてやらされている内言と、自発的な内言とでは、脳の中の反応する部位が異なることも分かった(これは、内言の研究に限らず、神経心理学の研究において注意すべきところなのかもしれない、とも)
他に、内言は、省略が多くなる、ということをヴィゴツキーは指摘していて、これを実際に検証しようとしている研究もあるとか。
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男女関係の神話 C. ファイン M. A. エルガー

かつて主張されていた「ベイトマン・トリヴァース原理」が、誤りであることが今ではわかってきているという話など
イトマン・トリヴァース原理とは、配偶子の数が少ない性=メスは交尾に慎重になり、配偶子の数が多い性=オスは交尾をたくさん行うものだ、というアレ
実際には精子のコストも決して安いわけではないことや、野生の世界でオスと巡り合えないままのメスも結構いることなど、いろいろとこの原理とあわない事例が多くみつかっているとのこと
さらに、セックスしても必ずしも繁殖につながるわけではない人間の場合、さらにあてはまらない、と。