H.バターフィールド『近代科学の誕生』

ちょっと再読

第一章 いきおいの理論

アリストテレスの理論から慣性理論のあいだに位置する、14世紀のいきおいの理論
アリストテレスは馬が引っ張るのをモデルに運動を考えてたけど、後世になると投射体で考えるようになる

第二章 コペルニクスと中世の伝統

コペルニクスが「科学革命」だったかというとちょっと違って
プトレマイオス理論の改訂でしかなかった
とにかく、「円運動」を重要視していて、それで全て説明したかったから太陽が中心で地球がその周りを回っている体系を考えたけど、力学とかはアリストテレス理論のままなので、地球はどうして回るのかという問いにも「球体だから」みたいに答える。

第三章 血液の循環の発見

生理学においては、ガレノスの説を退け、ハーヴェイが血液の循環を唱えたのが「科学革命」だが、ハーヴェイ以前にも重要なことを発見していた人はいて、ただガレノスの見方でしか見れなかったので、血液が循環しているという考えまで至らなかった
ルネサンス期で、絵画が発展して、絵画と科学が近かった。
この科学革命に大事な役割を果たしたのは、パドヴァ大学で、ここはアリストテレス学の温床ともいわれたところだが、医学がメインで、実験と観察(解剖)がよく行われていたのがポイント

第四章 宇宙観の変革

ティコ・ブラーエ、ケプラーガリレオ
ティコ・ブラーエは観察はすごいけど数学できなかったので、体系としてはプトレマイオスコペルニクスの折衷案みたいなの。
ケプラーは、数の秩序に対する神秘主義に近い信仰があって、ケプラーの法則を作った
ガリレオは、実はティコ・ブラーエやケプラーに注目してなくて、力学でも斬新なアイデアを出したわけではなかったけど、力学と天文学を結びつけたところがポイント。アリストテレス理論との全面対決となった。
あと、この頃、印刷技術が発展したりして、情報交換がよく行われるようになって学会みたいなのができるようになった

第五章 実験的方法の確立

第六章 ベイコンとデカルト

とばした

第七章 近代化学のはじまり

ボイル
ベイコンからの影響と古代の粒子論哲学

第八章 万有引力の発見

ウィリアム・ギルバートの磁力の研究が、影響大きかったみたい(ベイコン、ガリレオケプラーが興味をひかれてる)
万有引力の発見はニュートン1人の功績ではなく、当時に科学コミュニティ全体の関わりもみないといけない
ホイヘンスの遠心力の研究とか、また、フックも引力理論を発見している
デカルトは、「真空はありえない」「遠隔作用はありえない」というスコラ的見解をそのまま採用していて、渦動論というもので天体の運動を説明しようとした。
ニュートンはそれを否定しようとした。地球から太陽までの距離とかが測定されて、重力作用を計算するのに一点の作用でいいという仮定をおくことができた
引力は遠隔作用なので怪しい、みたいなのはデカルト派からは攻撃されたらしい。この対立は、大体イギリスとフランスに分かれる


この章だったか忘れたけど、磁力って遠隔作用でどういうものかまだ分からなかったので、結構オカルト的なものも呼び込んだらしい。
あとこの頃の天文学の話、占星術師もちょくちょく顔出してくる。

第九章 十七世紀フランスの科学運動

フォントネルという著述家の活動を中心に、科学が世の中に広まっていったという話

第十章 文明史のなかの科学革命

世界の中でずっと辺境だった西欧にとって重要なメルクマールである17世紀の変化について
まず世俗化
それから、相対化(ヨーロッパ以外のことが分かるようになって、自分たちの宗教などを相対化できるようになった)
科学革命と産業革命と農業革命

第十一章 遅れた科学革命

化学は、他の分野に比べて科学革命が遅れた。歴史学的にもちょっと謎
ボイルのあと進んでなかった
フロギストン説が妨げになっていたのかも? 
気体を調べる方法とかがなかなか整わなくて混乱していた。
ラヴォアジェがすごい

第十二章 進歩の思想と進化の概念

ダーウィン以前までに生まれてきた「進化」
古代の方が優れているといるルネサンス歴史観から、進歩史観への変化
ジョン・レイやリンネの「種」
ビュフォン『博物誌』地質年代の測定とか生物が変化するという考えとか
。共通祖先についても言及している
ヴォルフの前成説批判とかハットンの激変説批判とか
ラマルク、キュビエ


近代科学の誕生 上 (講談社学術文庫 288)

近代科学の誕生 上 (講談社学術文庫 288)

近代科学の誕生 下 (講談社学術文庫 289)

近代科学の誕生 下 (講談社学術文庫 289)