『映画理論講義』

タイトル通り。
映画理論の教科書。良くも悪くも教科書だと思うのだけど、とりあえず映画の教科書を読んでみたいと思っていたので、よかった。
映画の教科書といっても、映画理論の教科書なので、実践的な話ではないけれど。
扱われているのは70年代くらいまで、特にクリスチャン・メッツとジャン・ミトリへの言及が多い。というか、書いた人たちがメッツの次の世代の人たちみたいなポジションらしい。
テーマ別に5章まである。
第一章 視聴覚的表象としての映画
遠近法とかフレームとかショットとかそういう基本的な話。
あと、映画における音というのは、主題として論じられてきたことが少ないので、今後の課題かもみたいな話。
第二章 モンタージュ
アンドレ・バザンとかエイゼンシュテインとか
第三章 映画と物語
この章が一番長かったし、一番面白かった。物語やフィクション、リアリズムと映画について。
ジュネット物語論をベースに展開されるので、映画理論と共に物語論の勉強にもなったw
第四章 映画と言語活動
こちらは記号学、テクスト論と映画。これもまた、記号学とかテクスト論の勉強にもなったw
こういうふうに使うものなのか、という感じで。
作家論とテクスト分析の違いとか。
映画に固有なものというのは、案外と少なくて、映画研究するためには映画だけではない要素がどう絡んでいるかも見なきゃダメだよね、とか、映画の批評書くときって引用が難しいよね、とか
第五章 映画と観客
映画を見ているときの心理学みたいな話。
あと後半は、同一化の話。ここでは、精神分析の話もまとめてある。

映画理論講義―映像の理解と探究のために

映画理論講義―映像の理解と探究のために