いくつか読んだもののメモ

昨日、文学フリマに行った先輩・後輩に戦利品を見せてもらう。
なんかパラパラと見せてもらった本が多いので、何があったのかは覚えていないのも多いのだけれど、とりあえず覚えている分を。


まずは、close/crossの「Girls' Comic At Our Best!」vol.03
読んだのは「衛藤ヒロユキ魔法陣グルグル』ってほとんど少女漫画じゃない?という対談なのです。(見月みーすけ×sayuk)」
これを買ってた先輩もこの対談目当てだったみたい。いい対談だなあと思った。僕自身は、衛藤ヒロユキには少年的なものを見ているのだけど、少女的なものがあるというのはいい指摘だなあと思った。何だか分からないものを描きたいのであるという衛藤の言葉とか、グルグルの中で描かれる力についてとか、納得しながら読んだ。
僕はグルグルの世間での評判とかあまり知らないので、アラハビカのミュージカルシーンが一般には不評というのを読んで、すごいびっくりした。一般には不評だけど、あそこがいいという発言があって、首肯。アラハビカは、グルグルの中で最も面白いところ。アラハビカ編はグルグルの全てが結実しているような気がする。


それから、回廊文庫『幻視コレクション〜新しい現実の誕生〜』
しかしこれはちゃんと読めてない。夏目陽さんのと渡邊利道さんのをざっと眺めた感じ。
内容よりは、この秋山真琴さんの企画力と原稿集め力がすごいと思った。前回もそう思ったけれど。


小説はもう一本。
しかし、本のタイトルも作品のタイトルも忘れてしまった。
何となく手にとってパラパラと眺めていたら、なんか途中から面白くなって最後まで読んだ。そんなに長くなかったのもあって、すぐ読めた。
なんか、コンポが壊れてしまって修理の人を呼んで解体したら、レンズの中に音猫という電子ペット(?)が紛れ込んでいたという話。
エッセー・体験談の類と思って読み進めていたら、いきなり音猫というファンタジーな存在が出てきたのでいい意味で驚いた。


それから、秘密結社ソドム
『接吻』『崖の上のポニョ』『トウキョウソナタ』への評を読んだ。
ポニョ評のタイトルが良かった。えーと、なんだっけ。明日地球が終わるかもしれない日に、とかそんな感じだった。
それから、『トウキョウソナタ』は風の話をしていた。
どれもわりと短い分量ながら、的確にまとめられている作品評だった。どうも、僕と同じくらいの年っぽい。


あともう一つ。
白水Uブックス研究会の『カラマーゾフの兄弟ガイド』
各キャラのイラストや人間関係図や4コママンガが載っている。まさにアニメかマンガ作品の同人ファンブックみたいな感じになっている。
隣にいた、カラマーゾフ未読の友達に、カラマーゾフは本当にこんな感じなんだよ!とか言いまくった。
白水Uブックス研究会ってもっと堅いサークルのイメージを持っていたんが、変わった。


ゼロアカ本は、まだ全然読んでいないが、『腐女子の履歴書』は眺めた。じっくり読んではいないけど、年表とか何人かの履歴書部分とかを眺めた。
うちのサークルの人には好評でした。


id:anisopter02ことカワムラケン『複数性のパラドクスを超えて』
これは、一番最初に読んだ。
読んでいてすごく楽しかった。こういう批評好きだなーと思うし、こういうのを書きたいなーと思う。
「合理的な他者」と出会うことはどういうことかということと、テッド・チャンあなたの人生の物語
今ここでこの議論をぱっとまとめる頭がないので、最後の部分を引用しておく。

たとえば宿命と自由意志についての長々とした形而上学的な議論を参照しなくてはならない必然性を、私はもはや感じていない。なぜなら彼女は単にこう答えるに違いないからだ。「だって、聞きたいんだもん!」彼女がここで言う「聞く」という行為は解釈なのだろうか、参加なのだろうか…だが、そのような区分を改めて引き直すことにももう意味はない。
私たちは常に全くの観察者であることも、全くのゲーム参加者であることもできない。その条件こそがあなたの一つの生が複数形で語られうることをつねに可能にしている。


『科学魔界』は、伊藤計劃円城塔藤田直哉のエッセイを読んだ。それぞれがそれぞれの特徴が出ているなあという感じ。特に藤田エッセイ。
伊藤エッセイは、SFが青少年の心をゲットするにはエロが必要というものなので、ちょっといつもと違う雰囲気か。
『科学魔界』、『幻視社』それぞれの、岡和田晃評論はまだ読んでいないが、それぞれ冒頭だけ読んで面白そうだなと思った。http://d.hatena.ne.jp/CloseToTheWall/20081109/p1