『ガルム・ウォーズ』

押井守最新作
最近、押井作品、というか映画そのものを全然見れてなかったのだけど*1、これは見れてよかった
サイバーでミリタリーなファンタジー作品
押井版ナウシカという感じでもある
戦闘シーンも多く、その一方で思弁は少な目
物語はシンプルすぎるほどだが、映像美というか、ベタではあるけどその構図いいよねみたいなカットが多い。
いや最近、映像作品というとほとんと30分のTVアニメばかり見てたからか、久しぶりに2時間の映画見ると、なんかすごくリッチな映像体験をした気分になる。

舞台は、ガイアの周りを公転する星アンヌン
アンヌンに暮らすガルムの8つの部族が創造主ダナンに仕えていたのだが、ある時ダナンがアンヌンを去り、8つの部族は互いに争いあう。現在は、圧倒的な地上戦力をもつブリガと、機動力で制空権を抑えたコルンバ、そして情報技術に長けブリガの元でかろうじて命脈を保つクムタクの3部族だけが生き残っていた。
冒頭から、空飛ぶ戦艦同志の砲撃戦のシーンから始まる。
まさに金属製の鳥といった感じの羽ばたく戦闘機が飛び交いミサイルを撃ちあう。この戦闘機は、神経接続したパイロットが乗り込んでいて、顔だけ直接外に出してる。
そんなパイロットの一人であるカラは戦闘中命を落とすが、すぐに空母の睡眠巣から次のクローンが出てくる。
物語は、ブリガから逃げ出してきたクムタクの老人ウィドをコルンバの艦が保護するところから始まる。
クムタクは、はるか昔に滅んだといわれる森の賢人ドルイドの生き残りだという者とグラ(犬のこと)を連れていた。
その後、ブリガが彼らの奪還を試みて戦闘が色々あったのち
コルンバのカラ、クムタクのウィド、ドルイドのナシャン、ブリガのスケリグの4人は、群れから離れ、自らの意志で、あるいは否応なく、この世界の謎を解くため、海の向こうの聖なる森を目指す。
スケリグの乗戦車に4人で載って森へ
聖なる森には巨人がいて、空中機動で戦うw ここはまじで一瞬進撃の巨人だったw
ナシャンは、顔が全面覆われる兜をしてるんだけど、なんか弐瓶勉っぽかった
カラは、真っ赤な服に額に甲冑つけてるけど、どことなくナウシカっぽいし。まあ、押井が好きなおかっぱ美女なんだけど。
あと、もちろん犬もいる。
ガルムはみんなクローンだし、彼らの使っている兵器は最初から与えられたものでどうやって作られたのか誰も知らない。ダナンは何故いなくなったのか。とかそういう話してて、「ああ、またこれゲームの世界の中でしたとかいうオチなのかな」と思ったらそういうわけではなかった。ただまあ、創造主たちにとってガルムは失敗作だったようだ。
カラたちが聖なる森に侵入して世界の真実を知った結果、ガルムを抹殺するプログラムか何かが作動したのか、森の巨人やそれのさらにでかいのが大量に出てくるようになって、ブリガとコルンバは同盟して彼らと戦うようになりましたってところでおしまい。
森の巨人のでかいやつは完全に巨神兵で火の七日間だった。
見覚えのあるモチーフが次から次へと出てくるんだけど、それでいて見飽きた感じがしないというか、組み合わさって新しいものになっているというか、ファンタジー世界になっているというか。


感想としてはわりと『ガルム・ウォーズ』は押井守の実写で最高傑作 - Excite Bit コネタ(1/10)の飯田・藤田対談で言われてしまっているというか、わりと同意するところが多いので、そういうところを引用

飯田 押井守といえば小難しい理屈をこねる作家と思っている人も少なくないだろうけども、(予算があるときはとくに)画面づくり、レイアウトにこだわるビジュアリストとしての一面もあって、『ガルム』はそちらが味わえる作品。

藤田 これまでは、「人間も作り物かもしれない」という虚無感の方が強かった。しかし、本作は「作り物も人間かもしれない」という「生命」の感覚の方が強くなっていた。

藤田 ぼくは、いつもの押井監督とは思わなかったけど…… あんなに空中戦を躍動感あるように描いてくれたことなんてあんまりないんじゃないですかね。意外と、これまでの押井作品っぽいパーツはあるにしろ、本作は、「いつもの」感はなかったんですよ。

飯田 ちゃんと劇映画、アクション映画だったからね(空中戦のこだわりにくらべて生身の戦闘の撮り方は詰めが甘かったものの……)。

あと、カラとスケリグは次第に互いを意識していくようになっていくんだけど、一番そういうロマンスっぽいシーンが、「犬に舐められるってどんな感じだ? 涎とか」「うまく説明できないけどあたたかくなる」みたいな、とりあえず犬についての会話だったのが面白かったw なんだこの会話、なんだこの会話って思いながら見てた

ブリガ兵のプロテクトギア感

*1:そのわりにガルパンとキンプリは複数回見てるってどういうことだよ