日経サイエンス 2025年11月号

情報を量子で語れ 理論家たちの思考をたどる  古田 彩

量子暗号と量子コンピュータの歴史
前後編に分かれていて、11月号は理論家編、12月号は実験家編
実際の記事では、もう少し理論の内容についても説明しているが、ここではそのあたりはほとんど抜かして、出来事の流れだけ要約
この分野のパイオニアとなる人たち、名前すら知らなかったので(ドイチュは聞いたことがあるかなあ、くらい)、まずそこから
量子情報分野について、とっかかりになった。


まず出てくるのが、ウィーズナーとベネット
ウィーズナーが量子暗号のアイデアを考えるが、誰にも相手にされない中、ベネットだけは話を聞く。1970年2月24日、ベネットがウィーズナーと話をしながらとったノートに「量子情報理論」と書かれていて、これが「量子情報」という言葉の初出とされる。
ウィーズナーは、当時のカウンターカルチャーに共感していて、その後、アカデミアからは去ってしまう。後に、ベネットから共同研究の誘いを受けても断っている。ただ、アルゴリズムのアイデアが思い浮かぶと、ベネットに送っていたりはしていたらしい。
で、ベネットは、IBMランダウアーの講演を聴く。
ランダウアーは、計算とは物理過程だと述べ、計算すると情報が消え、熱が発生するという話をするのだが、それを聞いたベネットは、可逆過程の計算であれば熱が出ないはずと考えて、可逆の操作だけで計算ができることを証明し、IBMへ入社する。
ベネットは、暗号を研究しているブラッサールに声をかけ、ウィーズナーの量子暗号のアイデアを伝え、2人で量子暗号の共同研究を始める。


ランダウアーが開催した計算の物理学についての国際会議で、ファインマン量子力学的な計算について講演している。
これが、量子コンピュータ研究の始まりとされるが、ファインマンが実際に何か理論を持っていたわけではない。
同じ会議に、ランダウアーはホイーラーを招待している。
ホイーラーが、自分の学生であるベッケンスタインがきっかけで、情報に目を向けたという
ベッケンスタインは、ブラックホールは飲み込んだ物体の情報の分だけ膨らんでエントロピーが増えるということを発見し、これがのちにホーキングによるブラックホール放射につながったという。
ホイーラーは、1970年代に、It from Bitというスローガンを出した。


ドイチュ
1982年にホイーラーが開催した私的な研究会に、ドイチュも招かれていた。
ホイーラーの弟子であるエヴェレットの多世界解釈を支持する。ホイーラー自身は、多世界解釈をとっていなかったし、逆にドイチュはホイーラーのIt from Btiに反対していたが、ホイーラーはエヴェレットやドイチュのことを支援していた。
ドイチュは、研究会後の会話でベネットから「計算は物理ですよ」と言われて驚くが、すぐにその意味を理解した上で、「間違った物理を使っている」と喝破する。古典物理ではなく量子物理での計算を考えて「量子コンピュータ」についての論文を書き上げる。
ドイチュは、ホイーラーからファインマン量子コンピュータに興味をもっていることを知らされ、実際に会って話をしているが、ファインマンは結局、量子コンピュータの研究に着手することなくこの世を去っている。
当初、この論文への反応は全然なかったとドイチュは言うが、実は密かに影響を受けていた人たちはおり、例えば日本のNTTの基礎研究所にいた山本がこれを読んで、一時期、量子コンピュータを実装する仕組み考案しているが、実験家の山本にとって実現が難しすぎると感じられ、山本は結局このテーマからは離れる。


ドイチュとジョザ
量子コンピュータのアイデアは当初はあまり広がらなかった。
ドイチュ自身、量子コンピュータで計算が速くなると考えていなかったが、1989年、ジョザが計算が高速化することを示す。


ドイチュとエカート
大学院生のエカートがドイチュを訪ね、自身の量子暗号のアイデアを話す。既にベネットとブラッサールによる前例があったことを知り、落ち込むが、エカートのそれはベネットらのものとは仕組みが異なっており、ベルの不等式の破れを用いるものであった。
その後、ともにエヴェレット支持でポパー主義者のドイチュとエカートは親しくなっていく。
ドイチュが内向的であったのに対して、エカートは行動派であり、そういう点でも2人は互いを補い合うところがあり、組織を作ったりといった役割はエカートが担った。
NTT基礎研の井元は、エカートとの出会いがきっかけで、この分野に入ってきた一人。


量子テレポーテーション
1992年、モントリオール大学のセミナーの際に集まった、ウッタース、ベネット、ブラッサール、ジョザ、クレポー、ペレスは、アリスとボブが同じ量子状態の光子を持っているとき、どんな通信をすると相手の状態がわかるか、という話題で盛り上がり、それが量子テレポーテーションの論文へとつあんがる


ランダウアーは、量子コンピュータ批判の急先鋒となった
それは、エラー訂正の問題についてのもので、エラー訂正をしようとすると量子コヒーレンスが崩れる。量子ビットを外界から隔絶させつつ、量子ビット同士を相互作用させることが難しく、この問題が解決できないので実現しないという批判だった。
ドイチュは、自然界では実現しているので、誰かがこの問題を解決できるはずと楽観していたが、なかなかでてこないので、自身でエラー訂正に取り組み、量子ゼノン効果を用いた解決策を提案している。この方法は決して実用的ではなかったが、エラー訂正は不可能ではないことが示された。


そして決定的だったのが、1994年に、ショアが考案したアルゴリズムだった。
量子コンピュータによって素因数分解が現実的な時間内に解けることを示したもので、もし素因数分解が解けると、RSA暗号などが解けてしまうことになるので、一気に多くの人たちの注目を集めるようになった、と。
また、ショアは1995年に、より理解しやすいエラー訂正アルゴリズムを構築した。


ブラックホールと情報の話、量子ゼノン効果とエラー訂正の話は、『Newton2025年8月号』 - logical cypher scape2にもあった
しかし、前者はともかく、後者まじで全くわからん。

量子情報の未来は? 細谷曉夫氏に聞く   語り:細谷曉夫 聞き手:古田 彩

素粒子物理学ブラックホールの研究をしていたが、量子情報の考えを知り、日本語で初めてショアのアルゴリズムの解説を書いたりもした。
量子コンピュータが実用化されるには、もう一つブレイクスルーが必要なのではないか、と述べている。

自然が好む形ソフトセル E.カッツ

平面や空間を完全に敷き詰められる図形で、最も角が少ないのはどんな図形か
平面を敷き詰めるというのは、幾何学では古典的な問題だが、角をどこまで減らせるか、というのは実は考えられてこなかった。
最近、数学者のドコモスが発見して「ソフトセル」と名付けられた。
ところが、このソフトセル自体は、実は色々なところに見られた。例えばオウムガイの隔室の形とか、ザハ・ハディドの建築の中とか。
これら、様々なところに出てくる図形はよく似ている。が、これは視覚的に見て似ていると思えているだけなので、数学的に詰めれていないので、今後、それを研究していく、という話だった

数学者のおすすめ最も魅力的な図形 R.クロウェル

数学者たちにお気に入りの図形を聞きました、というもの
ちゃんと読んでないが、図形のグラフィックが多数載っているので、それだけ眺めていた。

宇宙膨張の謎は解けるか 初期暗黒エネルギー仮説   M. カミオンコウスキー/A. G. リース

標準宇宙モデルをもとにしたハッブル定数と、標準宇宙モデルから独立に測定されハッブル定数とにズレがあって云々という話
こういうのをハッブルテンション(ハッブル定数問題)と言って、過去にも2回あって、3回目のケース
宇宙誕生初期に暗黒エネルギーが合ったことを仮定するとうまくいきそう、みたいな話

SCOPE カムチャツカ半島沖で巨大地震

研究者が思ってたより、巨大地震の頻度が高いんじゃないか、という話
ところで、1900年以降の巨大地震TOP10(同順位のものが多いので15の地震が載ってる)の表があるんだけど、カムチャッカよりアラスカの高頻度やばくね、と思った(記事内にアラスカへの言及はなかった)

ADVANCES 音スポット

超音波を組み合わせることで、狙った場所で可聴音を発生させられる技術

From natureダイジェスト 赤外線が見えるコンタクトレンズ

これ『Newton2025年8月号』 - logical cypher scape2に載ってたやつか?
中国科学技術大学で開発
近赤外線を感知できる。目を閉じた状態で、より近赤外線がはっきり見える(近赤外線はまぶたを透過するから)

THE UNIVERSE UFO世迷い言

俗にUFOと呼ばれる現象、大体説明つきますからねってコラム