土屋健『化石の探偵術』

サブタイトルは、「読んで体験する古生物研究室の世界」とあり、古生物学研究の方法論についての入門書
化石を掘るための道具や地図の読み方・書き方から始まり、どのようなところを掘ればいいか、地層からどのようなことが分かるか、掘り出したあとの化石をどのように調べるか等といった内容


自分は、古生物や恐竜について本や記事を読んではいるが、フィールドに立った経験は当然なく、研究手法だったり、古生物学の中でも地学的な面だったりについてはあまり知らなかった。
まあ、古生物や恐竜についての本を読んでいれば、そういったことも断片的には入ってくるのだが、ひとまとまりに読むことはそうないので。


方法論だけではなく、具体的な古生物の話も書かれており、古生代中生代新生代それぞれからトピックが選び出されている。

はじめに
第零部 探偵術を知る前に……【基礎知識編】
第1章 知っておきたい「およその生命史」
第2章 現在は過去を解く鍵
壱部 徒手空拳は似合わない【アイテム編】
第1章 〝宝の地図〟が必要だ
第2章 細かい記録が、情報を生かす
第3章 〝七つ道具〟をそろえよう
第弐部 化石を探せ
第1章 化石になる、という珍しさ
第2章 〝宝箱〟を探せ!
第3章 〝岩〟にも手がかりはある
第参部 手がかりは現場にある
第1章 いきなり、掘るな
第2章 かつてそこは、海か陸か
第3章 上流か下流かーー水はどこから流れて来たか
第4章 上は本当に「上」か
第5章 あそこのアイツは同時代なのか
第6章 地層に数字は書かれていない
第7章 〝乱れ〟はないか?
第8章 地層の〝色〟は、保存に関わるかもしれない
第9章 時代の〝 ギャップ〟に注意せよ
第10章 博物館にも〝宝〟はある
第肆部 化石の声を聞く
第1章 化石を露出し、記録する
第2章 その輝きは〝後づけ〟
第3章 部分から全体を
第4章 〝犯人〟の手がかりを探る
第5章 傷に「異常」はないだろうか
第6章 その小石も手がかりとなる
第7章 歯は口ほどにモノを言う
第8章 眼は口ほどにモノを言う
第9章 化石を輪切りにすることで見えてくる
第10章 糞も化石になる
第11章 数があれば、見えてくるものがある
監修者より本書によせて
もっと詳しく知りたい読者のための参考資料

化石の探偵術 (ワニブックスPLUS新書)

化石の探偵術 (ワニブックスPLUS新書)

  • 作者:土屋 健
  • 発売日: 2020/10/08
  • メディア: 新書

壱部 徒手空拳は似合わない【アイテム編】

地形図、地質図の読み方、書き方など

第弐部 化石を探せ

化石形成
ノジュール
微化石
石の新鮮さ

第参部 手がかりは現場にある

地層は上の方が新しく、下の方が古いが、地殻変動で上下の向きが変わっていることがあるので、上下判定が重要。どうやって上下を判定するかなど、地層の見方
火山灰層の重要性
地層の不整合


博物館で化石を発見する話、例としてカムイサウルスの話が出てくるが、何度読んでも面白い

第肆部 化石の声を聞く

クリーニングしたあとの化石をあえて白く塗ってしまうという方法もある


複眼は化石として残ることがある
複眼のレンズの数を数えることで、どんな狩りをしていたか調べる(ウミサソリ類の研究)
強膜輪から開放F値を調べて、夜行性がどうか調べる
ステゴサウルスの骨髄炎、鎧竜は自身の骨を溶かして鎧をつくる、デスモスチルスは骨密度的に遠洋まで泳げる、いずれも骨を輪切りに調べた研究
などなど