天冥の標(1〜4)

ついに読み始めてしまった……
これ読み始めたら、しばらく他のもの手につかなくなるなと思って、読まずにいたのだけど
無料だったkindleを読み始めたのが運の尽きw
とりあえず途中経過


こんなにも性と羊をめぐる話だったとは
あと、こんなに各巻ごとに時代も作品の雰囲気も違うとは思わなかった。時系列順じゃないというのはちょっと知ってたけど


1巻は、2800年頃、文明の停滞した宇宙植民地でのポリティカル・アクション
2巻は、2010年頃の地球を舞台にした感染症もの
3巻は、24世紀のアステロイド・ベルトと木星を舞台にしたスペオペ
4巻は、3巻と同じ時代で、アンドロイド娼館で究極のセックスを探求する物語

《天冥の標》合本版

《天冥の標》合本版


とりわけ、2020年の今読むと2巻はくるものがある。
冥王斑という新しい感染者がパンデミックを起こす物語で、この冥王斑、というか、患者群(プラクティクス)という集団がシリーズを通して登場することになるのだが、とにかく、2巻ではこの病気がいかに怖ろしい病気か描かれていくことになる。
致死率の高さ、感染の仕方、その他の病気の特性どれをとっても非常に悪質で、地獄めいた世界が現れるのだが、それはそれとして、作中の日本の対策が明らかに現実のそれより優っている、ということをまざまざと見せられる。
東京アウトブレイク後、非常に迅速に検疫体制が作られる。もっとも、そのような体制もこの病気の前になすすべもない様が描かれていくのだが、とかく、作中の体制がいかに迅速で強力なものかというのが、2020年現在に読むとあまりによく分かってしまう、というのは、このタイミングでこの本を読むことによる独特の読み心地だったのではないかと思う
ちなみに、この体制は、感染研の柊部長という登場人物が異様に有能だったことに起因しているのだろうとは思うが


1巻で登場したキーワードの来歴が、2巻以降で一つ一つ紐解かれていく。
2巻では、冥王斑と救世群(プラクティクス)、医師団(リエゾン・ドクター)がいかに生まれたか。また、1巻でセアキのもとにいたロボットのフェアドールもこの時代に遡る
3巻は、酸素いらずのアウレーリア一統の物語であり、冥王斑の宿主が(2巻の時点で既に地球外生物であることはある程度分かっていたが)木星から来ていたことがわかる。ダダーとミスチフの対立構図も。
4巻は、恋人たち(ラバーズ)とプラクティクスの少年の物語。ラバーズのリーダーたるラゴスがいかにしてリーダーになることになったかという話でもある