陳楸帆『荒潮』

「80后(80年代生まれ)」の中国SF作家陳楸帆(スタンリー・チェン)の第一長編。
中国のとある島における、島民と出稼ぎ移民との対立を背景にしたサイバーパンク風作品。
陳の作品は、ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』 - logical cypher scape2で短編が3本邦訳されており、いずれもサイバーパンク風の作風で面白かったので、これも楽しみにしていた。
あらすじとか既に出ていた書評などでもあったとおり設定は色々と面白いものがあるし、また、映像化したら映えそうみたいな見せ場も割とあり、面白いことは面白かったのだが、終盤、話のたたみ方がちょっとご都合的というかなところがあって、物足りなさがあった。まあ、何が何だかよく分からない終わり方するよりは百倍マシなわけだが。
あと、これは自分がうまく読み取れてないだけかもしれないんけど、SFネタとしてのメインアイディアがなんなのかよく分からなかった。具体的にいうと、荒潮計画と米米1の能力のあたりが。
バチガルピっぽいと言われればバチガルピっぽいところもあるかなと思うけど、バチガルピの方が面白いかな。

荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

荒潮 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

  • 作者:陳 楸帆
  • 発売日: 2020/01/23
  • メディア: 新書

シリコン島は、出稼ぎ移民(ゴミ人と呼ばれている)の単純労働による産業廃棄物処理を主要産業とした島で、羅・林・陳の御三家が事実上島を支配している。
そこに、アメリカのリサイクル企業テラグリーン社のスコット・ブランダルと、スコットの通訳として、シリコン島出身でアメリカの大学に通う陳開宗が訪れる。
スコットが、アメリカ企業の介入をよしとしない御三家との交渉をするなか、幼少期以来の帰郷となった開宗は、ゴミ人の少女である米米と出会う。
開宗、スコット、米米、羅家の家長である羅錦城、ゴミ人でありながら御三家と対等に交渉しうるだけの能力をもった李文の5人が、主要登場人物で、おおむね彼らの視点で描かれるシーンが交互に展開して、話が進んでいく。


羅家に追われていた米米が、死んだと思ったら、すごい電子的能力と新たな人格を手に入れて復活
台風の夜に、ゴミ人たちと島民の対立が……!


(ブログ記事を一気に書き上げられなかったために、書くの途中であきらめ……)