『SFマガジン2019年12月号』

SFマガジン 2019年 12 月号

SFマガジン 2019年 12 月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 雑誌

第7回ハヤカワSFコンテスト最終選考委員選評

優秀賞の『オーラリーメイカー』と特別賞の『天象の鏡』の冒頭部分が掲載されていたが、読むとしたら、本でちゃんと読もうと思い、選評だけ読んだ

SFブックスコープ JAPAN

新刊は、あまり能動的にチェックしていないものの、まあtwitterとかブログとか定期的に眺めているだけで読み切れないほど情報が流れてくるわけで
ただ、そういう情報だと早川や創元に偏っているのかなーと思ったのは、宮内悠介『遠い他国でひょんと死ぬるや』(祥伝社)が全然未チェックだったので

SFの射程距離第1回暦本純一

AI×SFプロジェクトの企画によう、AI研究者へのインタビュー記事第1回は東大情報学環の暦本純一
どういうSFを読んできたかーという話に始まり、SFとテクノロジーとの間の相互作用としてこれまでどのようなことがあったかみたいな話をしている
最後に、今後、どんなSFを読んでみたいかという話で、食のSFが読みたいという話が、なんか面白そうだなと思った

テッド・チャン「2059年なのに、金持ちの子(リッチ・キッズ)にはやっぱり勝てない――DNAをいじっても問題は解決しない」

表紙にある通り、テッド・チャン『息吹』刊行記念特集号なのだが、ページ数的にはかなり後ろの方にある、ので最初けっこう探した
『息吹』収録作である「オムファロス」が先行掲載ということだが、これは本の方で読もうと思うので、今回はパス
で、もう一つ掲載されているのが「2059年なのに、金持ちの子(リッチ・キッズ)にはやっぱり勝てない――DNAをいじっても問題は解決しない」
これは、2019年5月のニューヨークタイムズに掲載された作品で、100年後のニューヨークタイムズに掲載されている記事、というていの作品。なので、非常に短い
遺伝子改良によるエンハンスメント処置を、貧困層の子どもにも無料で施すというプロジェクトが発足したが、エンハンスされた子どもが全然社会的に成功できていない、という内容
いくら遺伝子レベルでエンハンスされても、結局、それを生かすための環境がないとだめで、その環境を整えることができるのは結局富裕層だ、という告発記事になっている

わたしたちがいま目にしているのは、たしかにカースト制の誕生だが、それは生物学的な能力差を基盤にしているわけではなく、現存する階級格差を固定することの言い訳として生物学を利用しているにすぎない。(中略)この社会のあらゆる面における構造的な不平等と取り組まなければならない。人間を向上させようとしても、この問題は解決しない
解決する唯一の道は、わたしたちが人間を遇するそのやりかたを向上させることなのである。

テッド・チャンインタビュー