『ぼくらの七日間戦争』

2017年11月頃に見た時の感想なのだけど、ブログには書かず、今は亡きGoogle+に書いていてそのままになっていたもの。
この度、アニメ映画版のトレイラーが公開され、話題になっていたので、過去ログからサルベージしてきた。
7dayswar.jp

ぼくらの七日間戦争

ぼくらの七日間戦争


元々、姉が映画・原作ともに好きで、ビデオと小説を持っていたので、自分もそれを見たり読んだりしていた。
どこまで読んだか忘れてしまったけど、高校生編の途中くらいまでは読んでいる気がする。
ところで、宗田理って、90歳を過ぎて今なお新作書いているんですね、すげぇ

20171104

Amazonプライムビデオをうろうろしていたときに『ぼくらの七日間戦争』を見つけてしまい、思わず見てしまった(飛ばし飛ばしでだけど)
1988年の映画だが、姉が好きでビデオを持っていたため、子どもの頃に繰り返し見ていた作品だったので、今見ても結構セリフとか覚えていたw


さて、レビュー欄に「左翼映画」というコメントがあったので、左翼映画かどうかという点から、ちょっと感想を書いてみる(?)
まあ、あながち間違いではないのだけど、必ずしもそうは言えないというか、今見ても、なかなか面白い作品だった。
ぼくらの七日間戦争』というのは、80年代の厳しい管理教育を批判した作品で、中学生が集団で家出して廃工場に立てこもる、という作品である。
何故左翼かというと、原作では、主人公たちの親が全共闘世代で、特に主人公の1人である相原の両親は実際に全共闘に参加していた経歴をもち、相原は自分たちの行動を全共闘的な用語や概念を持ち込んでいるのである。さらに、「俺たちの親って若い頃はかっこよかったんだな」などというようなセリフも確かあって、全共闘を肯定するような感じで描かれている。
すわ、元学生運動世代による自己正当化小説かと思いそうなところだが、作者の宗田理というのは、1928年生まれで、本人自身は全然全共闘世代ではない。というか、主人公達の親どころから下手すると祖父世代にあたるくらいの人だったりする。
ぼくらシリーズ全体を見てみると、この作品は一貫して、大人たちの欺瞞を子どもたちが痛快に暴くということをコンセプトにしていて、何というか、ジャンルとしては義賊ものに近いのではないだろうかという気がする。宗田から見ると、全共闘も、左翼運動というよりはそれに類するものに見えていたのではないか
既存の枠組に対する抵抗、ということ自体を「左翼的」だと見なすなら、左翼的な作品かもしれないし、また、宗田自身の価値観としても、いわゆる「左翼」的な面はあるとは思うのだけど、言う程左翼か、とは思う。


さて、これは前置きで、映画の話に移ると
そもそもこれ、角川映画なのである。
全共闘という言葉はもちろん出てこないし、痛快娯楽作品として作られているのは一目瞭然である。
というか、今の視点から見ると、往時のバラエティーTV番組のノリすら感じるのである。
この映画の見どころは、子どもたちが立てこもる廃工場に、教師や機動隊が乗り込んでくるが、それを子どもたちが仕掛けたトラップによって撃退するシーンである。
工場内にジャングルジムのようなものを設置し、子どもたちはそこをすいすいとくぐり抜け、大人たちはそれに行く手を阻まれる。ロケット花火をびゅんびゅん飛ばして攻撃する。さらには、落とし穴があって落ちると泥水が待っている。
落とし穴が泥水のくだりは、まんまウルトラクイズだし、なんというかこう、90年代バラエティっぽさを感じてしまうトラップなのである。
なんか、いかにも昔のテレビ局が作ってそうだなーなんて感想を持ったのだが、実際は東宝で、テレビ局は全然関わっていなかった。
これ、東宝なのか! という衝撃があったけどw
考えてみれば、これ88年の作品で、多分フジテレビとかが映画作り始めるの90年代以降なんだよな、多分(それに、フジテレビが作ってる映画は、TVドラマの延長であって、バラエティ番組っぽくはないか)。
さらにすごいのは、何故か戦車が出てくるところであるw
これ、作品のWikipediaとか読んでも、何故廃工場の地下に戦車があったのか作中では全く説明されていない、などと書かれており、確かに作品内で戦車が登場する合理的な説明はない。もちろん、原作にも出てこない。まあ、機動隊がやってくる口実にはなるんだけど。
何で戦車が出てくるかというと、どうも『戦国自衛隊』の際に作った戦車らしい。Wikipediaによると、当時、結構色々な角川作品に出てたらしい、この戦車w
「せっかく戦車作ったし、出しましょうよ」「いいねー」みたいなノリを感じるw
映画版『ぼくらの七日間戦争』の面白さは、明らかにこういうところにある。
原作からしてすでに言う程左翼ではないだろうとは思うものの、原作に左翼っぽさを感じてしまうのは無理からぬところである。しかし、映画版は完全にそのあたり換骨奪胎されてしまっているのではないかな、という気がする。


そして、もうひとつ
絶対に触れなければならないポイントがある。
宮沢りえが、超絶かわいい!
この作品が宮沢りえが出ているのは、子ども時代に見ていた時から知っていたけど、今改めて見ると、とかく、宮沢りえのためのアイドル映画だったことがよく分かる。
角川ってやたら薬師丸ひろ子作品作ってるけど、そういう系譜なんだろうね、きっと。知らんけど。
昔のアイドルで今見てもかわいい人ってのは、確かに結構いるものなんだけど、ただ一方で、さすがに現在から見ると昔風になってしまったーって思える人もやっぱりいるもので、そこからいくと、宮沢りえはやばい
2010年代でも全然いけるでしょ、この子、みたいな垢抜け方をしている。
この作品、もう1人のヒロインである純子役の子も、かわいいといえばかわいいんだけど、こっちはさすがに、昔の女の子だなという風になってしまっている(髪型が80年代すぎる。マドンナ的先生役の賀来千香子も同様)。
宮沢りえがこんなに可愛かったとはなー
無論、当時の自分も、宮沢りえがとても人気のある女優であることは認識していたけれど、さすがにまだ小学校の低学年だったから