テメレア戦記1

ドラゴンのいる19世紀イギリスを舞台にした、戦記もの
以前、以下のまとめを読んだら、面白そうなジャンルだったので、その嚆矢とされる(?)本作を手に取ってみた

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テメレア戦記〈1〉気高き王家の翼

テメレア戦記〈1〉気高き王家の翼

本作は、ドラゴンのいるナポレオン戦争を描いた物語で、舞台となっている世界は、ドラゴンがいること以外は概ねこの現実世界と同じで、ナポレオン戦争もほぼ史実通りに進んでいく
ナポレオン戦争知らないので細かいところはよくわからないが。というか、ナポレオン戦争をある程度知っているのは読む上で前提かもしれない。例えば、この世界では、元寇に際して、日本は龍によってモンゴル軍を追い返したという史実になっていたりしており、現実の史実を知っている方が多分楽しめる。
ただ、まあそのあたりは、知っていればニヤッとできるくらいのものかもしれない


主人公ローレンスは、もともとイギリス海軍に所属する艦長なのだが、拿捕したフランスのフリゲートに、孵化直前のドラゴンの卵があったことで運命が変わっていく。
この世界のドラゴンは、生まれた直後に「担い手」となる人間を選ぶ
ドラゴンと担い手は互いにパートナーとなるのだが、それゆえ、担い手となった人間は、ドラゴンに我が身を捧げた人生を送ることになる
ローレンスは、生まれてきたドラゴン・テメレアに担い手として選ばれてしまう。
ドラゴン不足に悩まされるイギリス空軍のことを考えると、テメレアという新しいドラゴンは、イギリスにとって願ってもない新しい戦力である。
そして、それは同時に、担い手として選ばれてしまったローレンスもまた、空軍のキャプテンにならなければならないということも意味する。
シリーズ第1作である本書は、概ね、海軍将校から空軍将校へと、そしてドラゴンの担い手へとなってしまったローレンスが、環境の変化に大いに戸惑いながらも慣れていくというのが主な内容となっている。
後半に、戦闘シーンもあるが、まだそれほど戦記物という感じではない。
ただ、かなりするすると読めて、止められなくなる面白さはあって、それは、ドラゴンのことも空軍のことも分からないローレンスと一緒にそれらを知っていくという流れになっているのと、ローレンスが急速にテメレアを大事な存在(最初は、子どもとしてだが、割とすぐに友人として、という関係になる。テメレアはめちゃくちゃローレンスに懐いている)としていくからかもしれない。