「ベルギー奇想の系譜」展

Bunkamuraザ・ミュージアム

1 15-17世紀のフランドル美術

ボスを売りにした展覧会だったが、ほとんどは、ボスの死後に起きたボス・リバイバルの中で描かれたボス・フォロワーによる作品
ポスターなどに使われている《トゥヌクダルスの幻視》のみボスの作品
ただし、これも様々な証拠から、少なくともボス工房による作品であることは確かである、というもの。ボスは共同制作者がいたらしいが、そちらの正体は不明らしい
絵のテーマとして、聖アントニウスの誘惑もしくは幼きイエスをかついで川を渡る聖クリストフォロスのものが多い
燃え盛る町や巨大な頭部(場合によっては頭が建築物になっている)がよく描かれている。
ブリューゲル(父)は、依頼によりボス風の作品をよく描いていて「第二のボス」と言われるほど。ボス的な巨大な頭部や歩く魚なども出てくる。
ブリューゲルの《聖アントニウスの誘惑》は、やはり巨大な頭部が中心にどんとすえてある
ルーベンスの作品も
教会の勝利を描くために悪魔を描いている。絵の雰囲気や技法などは全然ボスとは違うのだけれど、その悪魔が「ハイブリッド」であるところがやはりボス的であるとの説明。ここでいうハイブリッドは、人間と動物とが混ざったような姿ということ。
ルーベンス作品だと《カバとワニ狩り》のカバが、歯が目立ってすごい迫力だった

2 19世紀末から20世紀初頭のベルギー象徴派、表現主義

こちらはマイナーな、というか少なくとも自分は知らない作家ばかりだった
個人的には、わりと暗めの絵が結構目に留まった
サードレールの《フランドルの雪》が、誰もいない冬の朝を描いた風景画でめにとまった。あと、スピリアールトの《堤防と砂浜》も、堤防が縦に描かれている構図が目を引く感じ・それから、ヌンクの《運河》は絵自体が横長の作品
デルヴィルの《ステュムパーリデスの鳥》もよかった
ロップスの《略奪》と《毒麦の種を撒くサタン》は構図だかポーズだかが面白かったような記憶
アンソールという人の作品も結構あったが、なんかすごくナルシズムの強い人だなあという感じ

3 20世紀のシュルレアリスムから現代まで

シュルレアリスムからは、ヌジェの写真、デルヴォーマグリット
デルヴォーは《海は近い》がまさにザ・デルヴォーって感じの作品だった。電信柱とか描かれているのは特徴的なところか
以下は現代アートで、だいたいは2000年以降のわりと新しい作品
現代アートのエリアに入ると、最初に、コーベルスの《ティンパニー》という作品があるのだが、これがバカアートだったw
人体模型の骸骨を逆さ吊りにして、それを上下に動かして、頭突きでティンパニーを叩くという作品w 展示されている作品そのものは動いていなくて、実際に動かして音を鳴らしている様子を撮影した映像が流されている。会場どこにいても、その音が聞こえてきて、ふと笑ってしまうw
ルルイの《生き残るには脳が足らない》という彫刻もバカっぽい作品で、頭部だけ巨大化して頭が重くてひっくりかえっている人のブロンズ像
展覧会のサブタイトルにも名前が挙げられているヤン・ファーブルは、なんか金ぴかで鹿とかの角の生えた男のブロンズ像
パナマレンコの《スコッチ・ギャンビット》はかっこよかった。レトロフューチャー飛行艇を作ってみましたというもの。実際に展示されているのは模型で、実際に10メートルだかのを作って川に浮かべている映像が流れている。同じく《ドナリエ》は一人乗りの不思議なボートのような乗り物だけど、これは脚漕ぎで動かすスクリューがスクリューじゃなくて尾びれみたいな装置で、ちょっと動きが笑えた
ド・コルディエの《狂った森、No.1》とタイマンスの《磔刑図》はわりと好きな感じのやつだった
前者は、森の入り口のような小道を描いた作品なのだが、抽象画一歩手前の筆致で描かれていて、解説によると他にも海の波とも木々ともつかぬ絵とかあるらしく気になる。
後者は、あたかも強い逆光かのように真っ白になっている画面に真っ白な十字架がうっすら見えているという絵
あと、猫にインタビューしている音声作品とかあった