冲方丁『テスタメントシュピーゲル』3下

堂々の完結!
帯によれば、「10年がかり」とある。
自分は2009年からの読者なので、この物語との付き合いは8年ということになる。
これまでの感想
冲方丁『スプライトシュピーゲル』『オイレンシュピーゲル』 - logical cypher scape
あんまりちゃんと感想メモ書けてなかったけど、読んだ本の記録1 - logical cypher scape(『テスタメント・シュピーゲル』1感想)
冲方丁『テスタメント・シュピーゲル2』上巻 - logical cypher scape
『テスタメント・シュピーゲル2』下巻 - logical cypher scape
冲方丁『テスタメントシュピーゲル』3上 - logical cypher scape


全てが落ち着くべきところに落ち着いた、まさに大団円
それはある意味予定調和なのだけれど、しかし、ここに至るまで、本当にこの終わりにたどり着くことができるのか、という様々な問題・事件が降りかかってきていた。
あとがきには「同じ事件・異なる物語が交錯し衝突する同時多発ストーリー」とある。
本当に、同時にいくつもの様々な出来事が並行して多発する作品であったが、また終わってみると、作品世界内で十数年に及んで発生した様々な事件が、それぞれ別個のものと思われてきた事件が、一つの大きな事件であったということが明らかになっていく物語でもあった。
そしてその全てが解決する。
そして主人公たちはみな新しい道へと向かうことができるようになる。
とてつもない希望の物語だ。
お話だからそうなるのは当然、なのか。
いや、あらゆるキャラクターが死力を尽くしてこの結末をもぎとったのだ、と確かにそう感じられるから、とてつもない希望の物語になっているのだ。



3巻の下巻は、やはり前半、ガラテア・コンプレックスを完成させていくくだりが、本当にやばくて、何度も泣きかけて
陽炎が、黄色い感じとかヘイジョーシンとか言い出すのとかもすごくいいし
水無月がシャーリーンを翻弄する小気味よさとか
鳳の口上、もう一体何巻ぶりだよとか
そして、すべての戦力が集結しての反転攻勢
ここから物語はいわば怒涛の解決編を突き進んでいく
特甲猟兵のことは正直残念でならないけれども、一つ一つに確かに決着がついていく
「報われざること一つとしてなからんことを」!