宇宙人を探し出せ
「宇宙人を科学する」という特集シリーズの第1回記事らしい
協力は鳴沢さん
- 「ブレイクスルー・リッスン」計画
まず最初に、2015年に始まった「ブレイクスルー・リッスン」計画の紹介から。
これ全然知らなかったのだけど、『日経サイエンス2017年5月号』 - logical cypher scape2で特集として取り上げられていた「スターショット」計画と同じく、ロシアの富豪ユーリ・ミルナー氏によるもの。確かに、その記事でもSETIやってるという話書いてあった、そういえば。
スターショット計画でもホーキング博士出てたけど、こっちでもホーキング博士が出てたみたい
SETI@homeってまだやってるんだな
- 電波
宇宙人からの電波を探すなら、1.42GHz(水素が出す)
1977年の「WoW!シグナル」について。1回しか観測されなかったってことで、正体はよくわかってないのか。鳴沢さんは、このシグナルが検知された領域を重点的に観測するべきと言ってる
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- 追記
Wow!シグナルの最終的解明https://t.co/hb1iYiEZwo
— ゆきまさかずよし (@Kyukimasa) June 8, 2017
1977年に検出されたSETI信号(と思われてた電波)。再探索では検出できず、候補はいくつかあるものの起源が謎だった。
今年になって帰ってきた彗星266/Pが同じ周波数の電波出してることを確認した pic.twitter.com/kLMswUCVG3
- その他のSETI
惑星間通信としてレーザー光を使うのではないか、そのレーザー光を探すのが、OSETI(オセチ・オプティカルSETI)。安価で行えるので、最近のSETIの半分以上はOSETIらしい。
他にも、原子力を使っている可能性から、トリチウムが発する電波を探すのがよい、とか、核廃棄物を恒星に廃棄している場合、ウランとプラトニウムが変わってプラセオジムやネオジムという元素に変わるので、それを探せばいいとか。
- カルダシェフ・スケールについて
ロシアの天文学者カルダシェフが考えた、文明レベルを3つに分類する方法。恒星からのエネルギーと同等量のエネルギーを利用できる1型文明、恒星が生み出すエネルギーと同等量のエネルギーを利用できる2型文明、銀河全体で生み出されるエネルギーと同等量のエネルギーを利用できる3型文明
地球人類は、1型文明にも至っていない。ダイソン球を利用する文明は、2型文明。
ダイソン球についての話も載っている。
空から見た奇妙な景色
アフリカの畑、スプリンクラーを使っているので円形になる、というのがすごい景色になってる
極北のレインフォレスト
今まで全く存じ上げなかったのだが、星野道夫に憧れて、今アラスカで写真家をやっている松本紀生という方がいるらしい。
その方による写真とレポート。
僕も星野道夫が好きで、よく読んでいた時期があり、今月のNewtonをパラパラとめくっていたら、「アラスカの写真だ!」と思わず目が止まった
「むかわ竜」全貌公開
土屋健『ザ・パーフェクト』 - logical cypher scape2の著者、土屋さんによる記事。あわせて読みたい。
小林快次さんのインタビュー付き。
海の地層から発見されたことがどのような点で重要なのかということが書かれていた。
いわく、陸の地層に比べて、海の地層の方が、示準化石によって分かる年代が細かく出すことができる、と。アジアから出ている同種ないし近縁種(むかわ竜はまだ種の特定に至っていない)の年代特定がより細かくできる可能性があるし、また、アジアからアメリカへと渡っていった経緯が分かるかもしれない。
それ以外に、海岸で生息していたと考えられる恐竜の発見例は少なく、今後、同地層で他の恐竜が発見されれば、海岸での恐竜の生態系についても分かってくるかもしれない、と。
小林さん、新種かどうかは現段階ではコメントできないといいつつも、その可能性が高いと思うとも言っているw
生命を改変するゲノム編集
CRISPR/cas9について、どこかで概要くらいは読んでおきたいと思いつつ、なかなかできていなかったので、とりあえず短いページ数でまとまっててよかった。
- ゲノム編集
特定のDNA鎖を切断することで、(1)特定のDNA配列の削除、もしくは(2)切断した箇所に別の配列を挿入することができる技術
- 従来の遺伝子組換え
組み替えたいDNA配列を投げ込んで、それがどっかにうまく取り込まれるのを待つ、というようなものなので、時間がかかり、偶然に頼る的なものだった模様。ゲノム編集は、どのDNA配列を切断するか特定できる。
- CRISPR/cas9
ゲノム編集技術の1つ。
cas9というのがDNAを切断するタンパク質で、これにガイドRNAがついている。ガイドRNAによってDNA鎖を特定することができる。従来のゲノム編集では、ガイドにタンパク質を使っていたが、RNAの方が合成が簡単にできるので、手間がかからなくなった。
元々は、細菌の研究から生まれた技術
細菌のウイルスに対する免疫機構としてCRSIPRがある。
獲得免疫の一種で、侵入してきたウイルスのDNA配列をCRISPRがコピーして蓄積する。
- 開発者
この技術を開発したのは、スウェーデンのシャルパンティエ博士とアメリカのダウドナ博士で、RNA研究者と細菌研究者
インタビューが載っているのだけど、FedExやDHLのおかげでヨーロッパとアメリカで離れていても共同研究がうまくいったと、企業名をあげて言ってるのが、ちょっと面白いなあと思った(例えば、クロネコヤマトや佐川急便のおかげで共同研究をうまくすすめられた、とかあまりインタビューで言わない気がする、実際に使っていたとしても)。
ゲノム編集っていうと、医療関係への応用のイメージが強いけど、(言われてみれば当たり前だが)農業関係への応用も期待されているみたい。医療関係でいうと、この記事は、遺伝子疾患への根本的な治療として、受精卵のゲノム編集があることにも触れている。時期尚早であるとしつつも、遺伝子疾患の子孫への連鎖を断ち切ることができると一応両論併記している感じ。
似たような話として『日経サイエンス2016年12月号』 - logical cypher scape2では、子孫に引き継がれているような形で行われるゲノム編集としては、精子への不妊治療から起きるのではないかと述べられていた。