『新潮2017年3月号』(諏訪哲史・円城塔・滝口悠生)

短編3つをざっと読み

諏訪哲史「岩塩の女王」

久しぶりに諏訪哲史読んだような気がする。
「アサッテの人」「りすん」「ロンバルディア遠景」は読んでて、あと比較的最近「ある平衡」を半分くらいまでは読んだけど
だからあんまり諏訪哲史の作風どうこうは言えないのだけど、随分と違う文体だった。
というのも、1節(大体文芸誌の2段組み1ページから2ページくらい)が、まるっと1文になっているという試みがなされているのだ。
音読してリズムを確かめたくなるような文。
青年ハインリヒが、導師であった老博士が亡くなって、山に岩塩の女王を探しに行く話。
ハインリヒの頭の中には、導師に入れられた石が入っていて、それがきっかけでハインリヒの生まれた町は寂れていったとハインリヒは思っているとか。
昔読んだ童話に出てくるエピソードから、鉱石と一体化してしまいたいような思いを抱いていたりとか。
山を歩いているときに裸の女の集団に出会い、城にさらわれる(?)
幻想小説っぽい雰囲気。

円城塔「微文字」

読みやすいほうの(?)円城塔
今度は、地質学・古生物小説だ!
主人公は、地層学ならぬ本層学の研究者。微化石ならぬ微文字を研究している。
人類よりも先に文字があった世界の話。
水平の法則とか示準化石とか出てきて、地層学の話なんだけど、そこにおさまってるのが「本」と「文字」
ムや門がいかなる増殖機構を働かせてきたのか、とか。

滝口悠生「今日の記念」

免許の更新を忘れてしまう主人公。
妻とは2011年の地震より前に別れている。
数日前に、飲み屋で会ったばかりの見知らぬ女を泊めていた。
鮫洲の免許センターに行って、偶然にもその女オノと再会する。
先の諏訪、円城と比較してしまうとどうしてもそうなってしまうが、普通の小説

新潮 2017年 03 月号

新潮 2017年 03 月号