『Newton2016年3月号』

LHCで新たな粒子発見か?

2015年4月に運転再開したLHCで、新たな粒子が発見されたかもしれない。まだ、新粒子だと確証はないが、他の装置でもその可能性が示されている。もし新粒子だとしたら、(1)ヒッグス粒子の新種、(2)複合粒子、そして(3)重力子のいずれかの可能性があるとか。
重力子だったら盛り上がるなー

火星に「リング」が出現する?

フォボスが火星の重力によって軌道が火星に近づいていっているけれど、数千万年後に、崩壊してリングになるかもしれない。岩石惑星でリングはできないと思われていたが、その可能性がある

113番元素の命名権を獲得

加速器で合成して新元素を作っている、(理研は)アルファ崩壊をたどって確認する、国際機関からの「コール」という呼び出しに応える形で、元素発見を申請する
アメリカ・ロシアの共同研究グループは、115番目の元素を合成し、それの崩壊過程で113番目の元素を発見したと申請。115番元素など、他のいくつかの元素についてはこちらのグループの命名権が認められ、113番元素については日本の理研の方が確実な方法で確かめたとされて命名権が認められた。
重ければ重い程、不安定になるが、魔法数の元素の場合、もっと重いものでも半減期が数年程の安定した元素がある。安定していると化学的性質も分かる。次は、その「安定性の島」を目指す。
ニッポニウムはかつて一度発見されたことがあった。1908年、43番元素を発見し、ニッポニウム命名されたが、実は43番ではなく75番元素だった。当時、正確に測定する装置がなくて、それが判明することが遅れ、75番元素は別に発見され、レニウムとなった、ということがコラムに載ってた。

宇宙空間が膨張するとはどういう意味か

赤方偏移とかハッブルの法則の話から、インフレーション宇宙論
赤方偏移ドップラー効果として説明されることが多いが、正確には違う(ドップラー効果だとすると、遠ざかる銀河だけでなく近づく銀河があることになるが、全ての銀河が一様に遠ざかっているのがハッブルの法則
銀河同士の距離が膨張するなら、太陽系や原子も膨張するか→しない。引力や分子間力の方が強いから
距離が遠ざかる程速くなる。ある距離より遠くなると、超光速になる。→相対性理論が禁じているのは、超光速で情報が伝わることなので、宇宙空間が超高速で膨張することは問題ない
宇宙空間が広がっているならその外側(観測できる範囲の外側)はどうなっているのか
→(1)宇宙は有限:曲率が正なら球形、負なら鞍形。球体の表面を宇宙が広がっていく。三角形の内角の和を測ると曲率が分かる。正でも負でもなさそう
→(2)宇宙は無限
永久インフレーションモデル:インフレーションは宇宙の始まりの時期だけでなく、永久につづいていて、観測範囲の外側は今も膨らんでいるというもの
宇宙背景放射
→そもそも宇宙は最初期において小さかったなら、宇宙誕生時の情報はその時にもう伝わってきているはずでは。なんで、138億年前の情報が今更きてるの。宇宙初期のインフレーションは超光速で起きていたから。
地平線問題:宇宙の外縁はどこも温度が一定。宇宙の大きさを考えると遠すぎて「交流」がなかったはずなのに何故か一定
平坦性問題:空間は重力によって曲がることがわかっているのに、何故か宇宙全体で見ると曲がっていない
インフレーション理論は、この二つについて説明する。宇宙創生の際は近くて「交流」があったが、その後、超光速で距離が離れた(地平線問題)、最初は曲がっていたものも平たくみえるくらいに膨張した(平坦性問題)
インフレーションのメカニズムは不明
インフレーションの証拠としての重力波
無からの宇宙創成も仮説にすぎない

  • アラン・グース博士インタビュー

元々モノポールの研究していたけど、宇宙論へいった自身の経歴の話。佐藤勝彦の話。
永久インフレーションモデルにおけるマルチバース
永久にインフレーションしつづける中で、ビッグバンが何度も起きて、それぞれ宇宙ができる。未来方向では永久だが、過去方向では永久ではない。
時間軸の中に、時間の矢の向きが定義できない、最小のエントロピーをもつ領域


赤方偏移は正確にはドップラー効果ではないとか、宇宙空間は超光速で傍聴するとか、宇宙の曲率とか、地平線問題と平坦性問題とか、永久インフレーションとマルチバースとか、なんとなくどっかで聞きかじったような記憶はあるのだが……みたいな話が、分かりやすく整理されて、一つの見通しのもと並んでいたので勉強になった。まあ、またしばらくしたら忘れそうだけどw

探査機から見た土星の衛星

カッシーニによる土星の衛星探査の写真など
タイタン、イアペトゥステティスエンケラドゥスの4つの衛星について。エンケラドゥスって結構小さいんだな。
土星の衛星のほどんどは土星に常に同じ面を向けている。
記事のメインはやはりエンケラドゥス
タイガーストライプという表面の溝など。そこから間欠泉がわいてる。新しい噴出物が表面を覆い、太陽系で最も白い天体とも呼ばれる。当初は、局所的に液体の水があるのかと思われていたが、地下に全体的に水がある(地下海)ことがわかった。プルームの噴出。巨大なプルームの多くは「錯覚」によるものだが、実在している。
タイタンは初めて液体の海がみつかった天体。太陽光の反射で液体だということが分かる。

エゾナキウサギ

「かわいい」

X線天文衛星「アストロH」いよいよ打ち上げ

X線天文学は50年くらいの歴史しかない。
日本のX線天文衛星は6代目
巨大ブラックホールの成長を探る

「手足」は進化を語る

遠藤秀紀協力
蹠行性、指行性、蹄行性の話。足を速くするのに歩幅を長くする方向で進化するが、その際、脚を長くするより、つま先立ちになっていく方が早かった。蹠行性は足全体が地面に着いている、指行性はかかとを浮かせてる、蹄行性は爪先だけで立っている。あと、つま先立ちになってると、走るときにかかとを上げたり下げたりの動きが必要なくなる
足を速くするためには、足を軽量化させる。蹄はそのためのもので、3つのグループが持っているが、系統的には別々に進化した。
肉食動物は鉤爪を進化させたが、走るのには重いので不利。体全体で走る。短距離しかもたない。
コアラの手は、第1指と第2指が、第3〜5指と向き合ってるという、すごく珍しい形状(有袋類ならでは)
土踏まずがあるのは人だけ
脊椎動物で飛べるのは三つだけ(翼竜、鳥類、コウモリの仲間)。しかし、それぞれバラバラの戦略。鳥だけは後ろ足が自由になっている。
あと、泳ぐ奴(クジラ、アシカ・オットセイ、ペンギンなど)と、手足を退化させた奴(=蛇)