ティエリ・グルンステン『線が顔になるとき』

フランスのマンガ、バンドデシネを中心に、顔がどのように描かれてきたかを見ていく本
肖像画カリカチュアといった、マンガではない絵画や、アメリカのコミックス、日本の「マンガ」など、バンドデシネ以外のマンガについても触れられている。
なお、翻訳にならって、バンドデシネ、コミックス、日本の「マンガ」などの総称をマンガ(「 」なし)、日本の「マンガ」を「マンガ」(「 」あり)と記述している。


以前に自分が読んだ*1ティエリ・グルンステン『マンガのシステム コマはなぜ物語になるのか』 - logical cypher scapeと違って、理論書という感じではなくて、事例紹介という感じに近い。あと、図版も多い。
なので、読みやすいことは読みやすいのだが、いざどんな本だったか要約しようとすると難しい


最後に略伝がついていて、本書の中に出てくるマンガ家や画家の略歴が載っている

序章
第一章 人の顔を描く
 個と種
  多様性への挑戦
  男性/女性
 モデルにもとづいた肖像画とオリジナルの肖像画
 性格(キャラクター)と戯画(カリカチュア
 類似性のパラドックス
第二章 役柄にふさわしい顔
 マンガと観相学
 類型化と解読
 他人になりすまして自分を描く
 「カワイイ」――最新型の幼形成熟
第三章 情念の表現
 恒常的ではないものを表す記号
 表現の豊かさを表すコードとその解釈
 テプフェールの法則
 表現の限度と補助
 過度あるいは不十分
 「存在感」の問題
 おもしろい顔とは?
 人の姿に似せること
第四章 クローズアップの活用
 クローズアップの攻撃性
 クローズアップの歴史
 なぜ接近するのか?
第五章 図像遊戯
 生命の表現
 不気味なもの
 醜女と愚者
 顔が消えるとき
略伝


線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート

線が顔になるとき―バンドデシネとグラフィックアート

*1:発行順は、読んだ順と逆だが