野村亮馬『キヌ六』

SF好きなら読むべし!
アフタヌーン四季賞出身の野村亮馬の最新作、全2巻で、先日2巻が発売されたところ


ツクバで人工的に造られた火星人類の少女キヌは、ヌードルスタンドで働くサイボーグの少女六を連れ、英国軍の改造兵士に追われながら、火星を目指す
イギリスとソビエト覇権国家となっている架空の2001年が舞台になっている
サイバーパンク風の街並を背景に、繰り広げられるガンアクション
筆ペン(?)の黒くて太いタッチで描かれる風景とアクションがかっこいい
完全に巻き込まれただけの六が、キヌと共に戦うようになって、友情が芽生えていく


もともと、作者の野村亮馬は、「WORKING ROBOTA」というSFコメディで四季賞受賞してデビュー
初連載作品の『ベントラーベントラー』(全3巻)も、コメディタッチの異星人SFであるのだが、最終エピソードのシリアス展開でのガチっぷりがすごい
ベントラーベントラー』とこの『キヌ六』とは、表面的には全く正反対の雰囲気の作品であるのだが、不思議と読後感は似ている。
時空を遠くかけ離れた者同士の絆、というべきか
あるいは、これぞSFという壮大さと、主人公たちの想いのささやかさの対比、というべきか
そういったものが両作品には通底しているような気がする。


『キヌ六』では、
地球から火星に移住し、地球との交流を絶った火星人類
火星のテクノロジーを手中に収め、支配を試みようとする英国
火星人類の支援を目的とする地球人の小グループ「カナリ」
そして、人体改造を施したソビエトから亡命した科学者たち「第五越冬隊」
といった組織、集団が現れる。
キヌが、英国軍と戦いながら、カナリたちの手を借りて、火星を目指すという地上での争いがメインだが
その一方で、背景には、火星と第五越冬隊との間の確執があって、これが実は宇宙規模に壮大な話だったりする。


ベントラーベントラー』でも単行本の巻末に設定資料集があったが、『キヌ六』でも2巻の巻末に設定資料集がついていて、メカや銃器の一覧が見れる。
メカデザインやクリーチャーデザインがちょい独特で、第五越冬隊かっこいい
あと、ユーゼンの車両とか

キヌ六(1) (アフタヌーンKC)

キヌ六(1) (アフタヌーンKC)

キヌ六(2)<完> (アフタヌーンKC)

キヌ六(2)<完> (アフタヌーンKC)