月村了衛『機忍兵零牙』

この小説については、機忍兵零牙 - 基本読書のレビューがよくまとまっているというか、雰囲気を知るのにうってつけ


タイトルもやばいが、中身もやばいw
今時よくこんなものができるものだと思うのだけれど、それがすごくうまくできていて、すげーってなる
尖塔の連なる城塞、砂漠の中のオアシス都市、水晶の谷、来歴すら伝えられなくなった古代都市、古戦場、超巨大な樹木の生い茂る森といった感じの、いわゆるファンタジー風の世界を舞台にしつつ
登場人物は、零牙だの鷹千代だの虹之介だのいった日本風の名前。っていうかそもそも、忍者だし
で使う忍法は、機忍法
陽子がどうのこうのとか時空連続体がどうのこうのとか、突然科学用語をまじえて忍法を説明しだす


とにかくもうそういう話で、ストーリー展開も超王道で、それでいてこれは月村了衛にしか書けないと思わせる一品になっているのがすごい
これ、リアル中二の時に読んだりしたら、絶対真似して小説書きたくなる類の奴なんだけど、これは下手に真似なんかしたら絶対ダメな奴w


あらすじ超簡単に(ただしネタバレあり)
無限王朝に滅ぼされた国の姫君である真名と、幼君である鷹千代を無事に亡命させるために、光牙(こうが)者である零牙が護衛の任につく。
それを狙うのは、無限王朝の骸魔六機忍
彼らの逃避行に次々と立ちはだかる六機忍。零牙、そして零牙に合流した、星牙、蛍牙、弓牙が激しい機忍法バトルを繰り広げる。
零牙→雷を落とせる刀を持っている。亜空間を使う。
星牙→時空連続体を飛ばして移動できる
蛍牙→触れられた者は必ず死ぬ蛍を使う
弓牙→次元を越えて飛んでいく矢を放つ弓を使う
六機忍
燦然寺鏡弥→鏡の中にいる
黒薙怜門→夢を通じて話しかけてきたりする
十六夜毬緒→機忍獣っていう機械でできたドラゴンみたいな奴を使う
濡髪絵蓮→光線を反射させる蝶を使う。ちなみに、忍者にとって光線を放ったりシールドを張ったりするのは基本技能
帳虹之介→触れたら即死するオーロラを展開する
魔妖女→妖女にして幼女。なんか催眠術的なものを使う
光牙者は、真の世界の記憶を持っている
真の世界っていうのは、どうもこちらの世界(現代日本?)のことらしい。ここらへんあまり詳しくは書かれていないが、転生ものなのか?
零牙の親友である業牙っていうのが、怜門に殺されている。
のだが、実は業牙が怜門を殺しているのだが、その後、業牙は怜門に成り代わっていた。そして戦いのさなかで弓牙を殺している。真の世界の妻の記憶を求めて、六機忍になっていた。
一方、真名は実は幼い頃に、本当の真名を殺してすり替わった骸魔の忍び。その後長い間真名として暮らす中で、自分や忍びに対する嫌悪感が募っていた。蛍牙と出会って、打ち解けていたのだが、蛍牙を殺す。しかし、最後に蛍牙から、真の世界の記憶と彼女の機忍法を授けられる。

機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)

機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)