川上和人『鳥類学者無謀にも恐竜を語る』

鳥類学者による恐竜本
鳥と恐竜、両方について詳しくなれるお得な本、かもしれないw
基本的に恐竜の本だが、鳥類学者として鳥についての知見をもとにあれやこれやと恐竜について推測していく。
また、文体が軽快で、笑わせてくるネタがちょいちょい差し挟まれていて、すいすい読める。
ページ下部に注がついているスタイルで、専門用語や種名の解説だけでなく、ネタや引用した元ネタの言及などもされている。この注の部分も結構面白いので気が抜けない(笑えるという意味だけでなく、結構大事そうなことが書いてあったり、トリビア的な知識があったりする)


序章と1章は、恐竜学の基礎知識編
第2章は、鳥の話で、恐竜や翼竜と鳥を比較している
第3章が、いわば本編。鳥のことから類推して恐竜がどのような生活をしていたのかを推測する。ここで書かれているのは、かなり化石には残りにくいようなことが多いので、現段階では正しいかどうか分からないものが多いし、さらにいえば永久に真偽が判断つかないようなものもある。が、少ないながらも様々な証拠から、あれやこれやと推測させられる、恐竜というものの面白さがあると思う。
第4章は、もう少しマクロにみた時の、つまり生態系や進化の観点から見た話。

序章 恐竜が世界に産声をあげる

1恐竜とはどんな生物か

恐竜の分類、鳥は恐竜という話から始まって、恐竜と他の爬虫類との関係
恐竜は、爬虫類の中で主竜類に属する。現生の爬虫類では、ワニがこのグループに属する。次に恐竜に近いのはカメで、主竜類を含む主竜形類に属する。翼竜も主竜形類らしい。
爬虫類としておなじみのトカゲやヘビは、鱗竜形類という別のグループ。魚竜、首長竜もこちら。

2恐竜学の夜明け、そして……

簡単な(5ページほど)恐竜学史
1824年 バックランド、メガロサウルス発見
1825年 マンテル、イグアノドン発見
1833年 マンテル、ヒラエオサウスル発見
1842年 オーウェン、恐竜と名づける*1
1850年代 当初、四足歩行で復元されていたが、この頃から二足歩行と言われ始め、以後そのように復元されるようになる
1861年 シソチョウ発見。1868年には、トマス・ハクスリーが恐竜と鳥は近縁だと主張。ちなみに、ダーウィン種の起源』出版は1859年だが、1869年の5版には、始祖鳥への言及があるらしい。
1800年代後半 コープとマーシュの発掘戦争
1900年代 中国やモンゴル、アフリカへ探検隊が派遣される。ヴェロキラプトルやプロトケラトプス、恐竜の卵の発見など
20世紀中盤 世界恐慌と二次大戦により研究が停滞
1964年 オストロム、ディノニクス発見(「恐竜ルネサンス」の始まり)。バッカーはオストロムの弟子!
1970年代 オストロム、恐竜が鳥類の祖先であると主張
1996年 羽毛恐竜シノサウロプテリクス発見

第1章 恐竜はやがて鳥になった

1生物の「種」とはなにかを考える

種の分類について、いくつかの考え方が紹介される
色や形などの見た目で判断する「形態学的種概念」
交配可能かどうかで判断する「生物学的種概念」
DNAで近縁関係を判断する「系統主義的種概念」

2恐竜の種、鳥類の種

とはいえ、もちろんこれらはどれも恐竜には使うことができない。
恐竜について確実に知ることができるのは「骨(の一部)」でしかない。恐竜における「種」とは、似た骨のグループでしかない。
厄介なのは、同じ種であっても、年齢や性別、あるいは生息地によって異種との違いよりも違いが大きいということがあるということである。
また、その逆に、骨からは全く区別がつかないが、実は違う種というものもある(現生の鳥の例が挙げられている。骨格の違いはほとんどないが、羽毛の色など見た目が全く違う2つの種というのはある)。

3恐竜が鳥になった日

恐竜が鳥の起源であるかどうかの論争について
まず、鳥にある叉骨が恐竜では発見されていなかった→見つかるようになった
鳥の出現時期との矛盾(シソチョウはジュラ紀、羽毛恐竜は白亜紀)→ジュラ紀の羽毛恐竜も発見されるようになった
気囊→鳥だけがもっているが、恐竜も持っていた
ティラノサウルスの骨から抽出したコラーゲンの分析→鳥と近縁
3本指問題

4羽毛恐竜の主張

羽毛恐竜は、後ろ足にも翼のある、四枚翼だった。現生の鳥はもちろん二枚翼。
羽毛の化石から色が分かるようになってきつつある

第2章 鳥は大空の覇者となった

1鳥たらしめるもの

鳥の特徴=翼がある、軽量化されている、卵を産む、成長が早い(空を飛ぶために必要なこと)

2羽毛恐竜は飛べるとは限らない

羽毛は当初、飛翔以外の目的で進化した
いつ進化したか
進化について考えるときは「節約的」に考えるのがルール。つまり、同じことは一度だけ起こったと考える。しかし、実際には別の系統で複数回起こることもある(例、水鳥の水かき)。また、一度手に入れたものでも必要がなくなれば失うこともある(例、飛べない鳥)。保温のための羽毛なら、大型恐竜には必要ない。
ここで筆者が何を言いたいかというと、羽毛を持っていた恐竜がいるのは確かだが、しかも小型獣脚類だけでなく、大型獣脚類ユウティラヌス(ティラノサウルスの仲間である)や鳥盤類のティアニュロングでも見つかっているわけだが、だがだからといって恐竜がみんながみんな羽毛が生えていたとは限らないのではないか、ということらしいw
「見つかってない恐竜まで羽毛にくるんでしまわなくてもよいのに」「単にまだ気持ち的に受け入れられないだけかもしれない」といったあたりに、筆者の思いが垣間見えるw
ちなみに、恐竜声優えみつんも「ティラノサウルス・レックスにも羽毛があったのかなぁ?(中略)でも、北米のティラノサウルス・レックスは「暴君トカゲ」らしい姿であってほしいと、勝手ながら夢を見てしまう。https://twitter.com/Nitta_Emi/status/364001659145289728」と言っていたりする
この本にも、何枚か羽毛でくるまれた恐竜の復元図・想像図が載っているのだけど、「こんな生き物が本当にいたのかよ。すげえファンタジーの世界っぽい」とどうも思ってしまうw
ここらへん、今の子どもは違和感なく受けれているのかもなあと思う。
逆に、尻尾を引きずってない恐竜の姿への違和感にも同様のことがいえるかもしれない。僕の場合、ちょうど尻尾をひきずらないイメージが席巻しはじめた頃だったので、尻尾をひきずるのは誤りと強くインプットされて育ったので違和感持たないんだけど。

3二足歩行が鳥を空に誘った

鳥は、空を飛ぶ翼を手に入れるために、腕を犠牲にしたのか。
筆者はそうではないという。(ものを掴んだりすることのできる)腕と翼だったら、腕の方が有用だろう、と。また、初期の翼は、今ほど飛ぶのも上手ではない。
むしろ、腕が不要になったからこそ、翼が生まれたと考える。
ここで二足歩行が重要になる。人間は、直立二足歩行をしているが、恐竜は直立していない。脚の前方に胴体と頭部が延び、バランスを取るために後方に尻尾が延びている。そして、この体型だと前脚は邪魔になる。そこで、ティラノサウルスのように小型化させていったものたちと、翼化させていったものたちが出てきたのではないか、と。

4シソチョウ化石のメッセージ

シソチョウについては、空を飛べたのかと、樹上利用をしていたのかが争点となる。
前者については、筋肉を支えるための竜骨突起という構造があるかどうか、後者については、第一趾が対向しているか(枝を掴めるようになっているか)という、骨の形態から見ていくことができる。
のだが、一方で、実際にどのように行動していたかと形態は必ずしも対応しないということを、筆者は指摘する。ある行動が有利なら、その行動に適した形態へと進化していくが、行動は必ずしも形態に縛られない。

5鳥は翼竜の空を飛ぶ

翼竜との比較
空を飛ぶ脊椎動物は鳥だけではない。コウモリ、ムササビ、トビトカゲ、トビウオなどがいる。翼竜も含め、これらの動物はみな皮膜を使って飛ぶ・
しかし、飛行器官として優秀なのは、圧倒的に皮膜よりも羽毛である。しかし、羽毛はゼロから進化させねばならないし、少量では飛行に役に立たない。皮膜は、もとからある皮膚を拡張すればいいし、少なくても滑空に役に立つ。よって、飛行目的であれば、皮膜の方が進化しやすいのである。
既に述べたとおり、羽毛はもともと飛行以外の目的で進化した器官である。
また、翼竜が先に空を飛べるようになり、制空権を持っていたがために、鳥が空を飛ぶためにはより優秀な羽毛を手に入れるしかなかったのではないかとも述べられている。
翼竜は巨大化していく。最大の翼竜ケツアルコアトルスは10メートルはあったとされる。
果たしてこんなに大きくて空を飛ぶことができるのか、というのは議論が分かれている。
一方、大きいので樹上利用はできなくなり、地上での活動もしたと考えられている。また、その場合、四足歩行していたのが足跡化石からほぼ確実らしい。
さて、ここで筆者は、飛ばなくなった翼竜について想像する。巨大化していれば、捕食者に襲われることも少なくなるので、地上生活に移行する問題もなくなる。ここらへんはもちろん化石証拠がないので、完全な想像なのだが、これがこの本の面白いところである。

6尻尾はどこから来て、どこに行くのか

現代の陸上生物と比較して、恐竜の尾は非常に目立つ、特徴的な器官である。
何のためにこれだけ尾が立派なのか。まず、バランスを取るためのおもりとして(尻尾を引きずると摩擦が大きいので邪魔)。また、大腿か尾にかけて筋肉が発達していたともいう。尾がバランサーかつエンジンだった、と。
鳥は逆に、尾は骨も筋肉もなく、尾羽となっている。これには色々な役割があるが、「トカゲの尻尾切り」という重要な役割もある。
では、恐竜も尻尾切りをしたのだろうか?!(おなじみ、筆者の想像コーナーへ突入である)
むろん発見されてはいないが、尾を切るトカゲなどでは骨にその構造があるので、そういう化石が発見されれば、と筆者は期待を込める

7くちばしの物語は、飛翔からはじまる

最後に、くちばしの話である
鳥は、くちばしが進化して、歯がなくなっている。軽量化のために歯を捨てたと言われることがあるが筆者はこれを否定する。歯がないかわりに鳥は胃袋ですりつぶす、これに筋肉が必要で、これがいわゆる砂肝。これが重いので、軽量化にならないらしい。
翼が進化することで、指がなくなる。指の代わりに使える器官としてくちばしが進化したということらしい。

第3章 無謀にも鳥から恐竜を考える

恐竜の行動は化石に残りにくいわけだが、ここでは、鳥から恐竜の行動などを推測している。
セクションごとに、鳥にはこんなのがいるけど恐竜はどうだろうねーみたいな感じで進んでいく。

1恐竜生活プロファイリング

ここは、この章の導入。行動が化石として残った例など

2白色恐竜への道

まずは恐竜の色の話題。特にここでは、白い色の恐竜がいたかどうか。
鳥であれば、カモメやアホウドリ、サギ、ツルにハクチョウなどが思い浮かぶ。
白は目立つ。目立つと捕食される可能性が高くなる。なので、本来は避けられるべき色である。ここで、白い鳥を見てみると、みな水辺で暮らす鳥であることに気付く。そして比較的大きい。
白い色は目立つ。目立つので敵から見つけられやすいが、仲間からも見つけられやすい。そこで群れを作ることができる。群れになって得られるメリットは多い。水辺はもともと開けていて目立つので、群れになって身を守っている。
水辺にくらす哺乳類は白くない。移動速度が遅いので、白によって目立つデメリットが群れによるメリットよりも大きくなるからかもしれない。また、十分に大きいので、白くならなくても目立つのかもしれない。
恐竜が白くなるためには、鳥と哺乳類のあいだくらいの速さ、大きさである必要があるかもしれない。そこで筆者は、比較的小型の鳥脚類、ニッポノサウルスなどを挙げている。
他にも白くなる理由としては、雪の世界に住んでいる場合がある。
また、ニワトリやアヒルなど家禽も白い。捕食圧がなくなり、性的アピールも必要なくなるので、白くなるらしいので、恐竜も代々飼育すれば白くなりうる。

翼竜は茶色でも極彩色でもない

翼竜について
翼竜はトサカが特徴的だが、これを同種か別種かを見極めるためのものではないかと。
そして、翼竜は海の上を飛んでいる。そこは光の強い世界であり、フォルムのはっきりしたものでないと見分けがつかない。よって、トサカが有用。
そして、そのような世界なので、色も白黒だったのではないか、と

4カモノハシリュウ管弦楽がお好き

声については、もちろん化石で証拠が残らないので分からないわけだが
恐竜がどのような時に鳴くかというシュチュエーションを考える。
まず、1つは求愛だろう。しかし、雌を呼び寄せるような声を出すということは、当然捕食者も寄ってくる。このような行動をとるのは、単独行動をしている肉食恐竜であろう。また、遠くまで聞こえる必要があるので、低い声だっただろうと。
群れで生活する恐竜はどうか。例えば、森林で生活している場合、個体同士のコミュニケーションのために鳴いていたかも知れない。その場合、高い声も混ざっていただろう。周波数の異なる声をだすことで、互いの距離が分かる。

5強い恐竜にも毒がある

毒は、攻撃用と防衛用に分かれる。防衛用の場合、皮膚組織に毒があるので化石には残らない。攻撃用の場合、牙に毒を仕込んでいるので化石に残る可能性がある。
そして実際に、歯に溝のある恐竜、シノルニトサウルスが発見されていて、これは毒を持っていたとされる。
次に、毒をどのように手に入れたか。毒を独力で手に入れようとするとコストが高いが、これに対して外部(植物とか)から毒を取り込むという方法もあり、毒を持つ鳥はこの方法で毒を使う。

6恐竜はパンのみに生きるにあらず

食性について。まずはもちろん歯から。胃石とか。
鳥類学者の筆者としては、雑食が多かったのではないかと考える。食性1つとっても推測するのは結構難しい。
どのように食べるかについては想像たくましい。
枝などの道具を使ったかどうか→指が向かい合っていなくてものをつかめないので可能性薄
エサを使って誘うという方法はどうか。モズのハヤニエみたいなことしてたら面白いなあと筆者は想像する。

7獣脚類は渡り鳥の夢を見るか

鳥の特徴的な行動には渡りがある。
渡りをする理由は、季節によって食物が枯渇するから。渡りを可能にするのは、飛翔能力があるから。
カマラサウルスは、歯の酸素同位体比から渡りをしていたことが分かっている
大型の植物食恐竜は、食べる量が多いので食物が枯渇するだろうし、また移動能力もあるだろうから、十分渡りをする可能性がある。これは、鳥というより、大型の植物食哺乳類に当てはまる*2

8古地球の歩き方

鳥は、首を振って歩く。これは、頭を固定するためらしい。
恐竜は首を振って歩いたか。竜脚類はその可能性が低い。小型獣脚類はしてたとしてもおかしくないが、鳥の直接の祖先のわけで意外性がないと筆者としては不服っぽいw
鳥はホッピングする。雀など。恐竜はどうか。とはいえ、鳥がホッピングするのは樹上生活に適応した結果、ホッピングせざるをえなくなったのであって、もともと歩ける恐竜はわざわざホッピングしないだろう、とこちらも筆者にとってはがっかりの結果にw

9恐竜はいかにして木の上に巣を作るのか

鳥は木の上に巣を作る。恐竜はどうか。
実際に発見されている恐竜の巣は、地上のものである。そもそも、木の上の巣は化石に残ることはまずなさそうである。
樹上で巣を作るには、木に登ることができる、巣を作ることのできる手先の器用さ、ではなく口の器用さが必要になる。これらを持ち合わせているのは、鳥の直接の祖先であるマニラプトル類くらいとなって、ある意味当然の結果に。
2007年には、地中営巣していた恐竜が発見されている。筆者は、地中がいたらな樹の洞を巣にしていた恐竜もいたはずと期待を膨らませている。

10家族の肖像

巣の次は子育て
まず、卵を温めていたかどうか。竜脚類の巣から見つかった恐竜の卵は、殻が薄く、これでは温めるためにのっかると卵が割れてしまう。一方で、殻の厚い恐竜の卵も見つかっている。
地熱を利用していたのではないかとか、卵胎生とかについての話も。
卵が孵化したあとの子育てはどうか。
サイズの異なる個体が一緒にいる群れの化石が発見されており、そのような種では子育てがあったと考えられる。また、大型の植物食恐竜は成体になるまでに何年もかかるので、子育てした方がよい。

11肉食恐竜は夜に恋をする

夜行性恐竜はいたか。
夜行性は、同じ場所に住む動物種のあいだでの資源の分け合いとして生じる。
夜行性の鳥は、目がでかいフクロウタイプと、目が小さい代わりに嗅覚が発達したキーウィタイプがいる。そこで、恐竜の目の大きさを調べて夜行性だったかどうかを調べた研究がある。ヴェロキラプトルなどは夜行性だったと見られている。
夜行性の恐竜はどのような姿をしていたのだろうか。
まず、色は地味だっただろう、と。昼は寝ているのでその隙を襲われないための保護色。
次いで、夜に行動するには視覚だけでなく、鋭い聴覚も必要になる。そうすると、耳介が必要になる。
つぷらでぱっちりとした大きな目を持ち、羽毛か何かでできた耳を持っていたら、それは夜行性の恐竜ということになる。

第4章 恐竜は無邪気に生態系を構築する

1世界は恐竜で回っている

恐竜はでかい。でかいゆえに沢山食べる。だからこそ、生態系への影響もでかい。
植物がトゲだったり葉を硬くしたり毒をもったりなどの防御機構を手にしたのは、こうした恐竜による捕食圧が原因とも言われているらしい。
また、メタンガスもすごいでる。温暖化効果。
逆に肉食恐竜は、そうした植物食恐竜の数を安定させる。また、鳥は空を飛ぶことで、哺乳類は夜行性になることで、肉食恐竜から逃れていた。

2恐竜の前に道はなく、恐竜の後ろに道はできる

大きな恐竜が歩けば、獣道ならぬ恐竜道ができただろう。
これは他の動物たちも利用したはず。
また、植物が種子を広めるためにも恐竜を利用したはず。果実やオナモミのような植物がそうやって進化したのではないか。
ところで、ガラバゴスゾウガメの「ガラパゴス」って「ゾウガメの」っていう意味らしい

そして誰もいなくなった

恐竜絶滅の話。
絶滅の原因だけでなく、何故哺乳類や鳥類が絶滅を生き延びたか、そして恐竜が絶滅したあとどうなったか、という話もされている。
面白かったのは、恐竜絶滅後の話で、恐竜が滅んであいたニッチに、恐鳥と呼ばれる無飛翔性肉食大型鳥類が登場したという話だった。
大型といっても、2〜3メートル程度なのだけれど、巨大な頭部を武器に、肉食動物として地上の覇者となったらしいが、それも一時のことで、爪と牙をもつ哺乳類がその地位を奪うことになる。
最後に筆者は、もし現在の世界から、鳥と哺乳類が絶滅したらどうなるのかという想像をしてみる。そのあいたニッチに、爬虫類や昆虫が入ってくるのではないかと考える。
何かが絶滅する。しかしそこに別の種類の動物が入ってて、同じ役割を果たすようになる。絶滅は、一時的に混乱をもたらすが、しかし再び安定した生態系はもたらされるのである。

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)

*1:あ、そういえば『大人のための「恐竜学」』には、Dinosouriaが「恐竜」と最初に訳された時期の話とかが載っていたな

*2:ところで、トナカイはアイヌ語らしい