坂上秋成『惜日のアリス』

何だか、あんまりうまく感想が思い浮かんでいないので、簡単にあらすじだけまとめておく。


この作品は、だいたい3つの部分に分かれている。
まず、前半。主人公の「わたし」は、いわゆるコミュ障ワナビな感じの女の子で、大学に通いつつ、おばあさんが1人で経営しているぼろっちい映画館でバイトしている。小説を書いては、ツンデレな感じのおばあさんに読んでもらうのを楽しみにしている。
その映画館に、詩人志望の男、算法寺が新たにバイトとして入ってくる。主人公から見ると、頭のよいしっかりした感じの人なんだが、まあ一般的に言えば、主人公も算法寺も「痛い」感じのする人で、「言葉について共に語ろう」とか言いながら、だんだん付き合うようになっていく。ところが、おばあさんが死に、2人の生活も変化する。
で、算法寺は突然海外へ行くとか言い出して、時間は一気に十数年後へと飛ぶ。
主人公は30代後半になっており、ナルナとその娘、莉々花と共に暮らしている。新宿三丁目にあるバー「アテンション」に集う仲間もいる。予備校講師をしながらも小説を書き続け、朗読ustをして一定の固定視聴者もいるようになっている。
そこに突然、かつて海外へと去っていった算法寺が戻ってくる。算法寺には日本に友人知人がおらず、主人公はアテンションの仲間やナルナと引き合わせる。だが、昔と変わらない言葉を使い続ける(かといって全く成長していないわけではなくその間の経験を積んだ)算法寺に、今の状況を脅かされたように感じた主人公は、算法寺に二度と自分たちに近付かないで欲しいと告げる。
ところが、その直後にナルナと莉々花が姿をくらます。2人をおって静岡へと向かう途中で、主人公は何もない世界を彷徨い歩き、楽園へと向かう女と出会う。楽園へ入るにはパスワードがいるらしいが、主人公はパスワードを知らない。
大きくなった莉々花と再会するシーンで終わり。

惜日(せきじつ)のアリス

惜日(せきじつ)のアリス