『Newton2012年4月号』

久しぶりにNewton読んだ。目当ての記事は「書き換えられる「不確定性原理」」。小澤の不等式の解説記事。
「誤差」と「ゆらぎ」の違いが重要らしい。ハイゼンベルクの不等式は「誤差」についての式。小澤の不等式はそこに「ゆらぎ」についての項を加えている。誤差は、測定の正確さにかかわるものだが、ゆらぎは、測定とは関係なくミクロな粒子が元々持っている性質
ハイゼンベルクの不等式とは別に、ロバートソンの不等式というものがあり、これは前者の「誤差」を「ゆらぎ」に置き換えたもの。「誤差」と「ゆらぎ」の概念は異なるものだが、混同されて用いられてきた。
ハイゼンベルクの不等式とロバートソンの不等式の意味は全く異なるものだが、混同され、後者の証明をもってして前者も証明されたかのように扱われてきた。だが、実は、ハイゼンベルクの不等式は検証されたことがなかった、らしい。
ハイゼンベルクの不等式は、ハイゼンベルクが「ガンマ線顕微鏡」という思考実験でたどりついたもの。ミクロの世界だと光(電磁波)が観測対象の粒子をはじき飛ばしてしまうので、測定の際に粒子が動いてしまう。粒子が動かないように波長の長い光をあてると測定誤差が大きくなる。
小澤の不等式が誕生することになった経緯として、「重力波の検出限界問題」が挙げられる。重力波はレーザー干渉計で測定されるが、この測定には限界があるとされた。だが、この限界は突破できると理論的に証明したのが小澤教授。で、その際ハイゼンベルクの不等式が成立しないので新たな式をたてた
ハイゼンベルクの不等式は、位置と運動量の両方を正確に知ることはできないというものだが、これは別に位置と運動量以外の運動量もよいらしい。例えば、中性子のスピンの向きがこれに当たる。ハイゼンベルクの不等式を検証するのにはすごい精度のたかい測定が必要でそれで今までなされていなかった。位置と運動量の測定と異なり、中性子のスピンは精密に測定できるので検証実験が可能になった、らしい


Newtonの他の記事。アレクサンドロス大王の東方遠征ルートについて。ペルシア門の場所について、02年に定説とは異なる説が発表されていたので、イランで現地調査してみたって記事。で、新説の場所の方が明らかに史料の記述とあっている、と。
イランは政情不安なこともあって、今まで現地調査というのがほとんどなされたことがなくて、地図と史料を見るだけで研究されてきたために、こういうことになってたんじゃないかという話


Newtonの別の記事。「進化を続ける人工知能」。将棋ソフト「ボナンザ」の話と、次なる人工知能の目標として東大合格が掲げられたのは何故かという話。入試問題を解くには、「意味」を理解したり、フレーム問題を解いたりしなきゃいけないから、と


それからあと、電池についての記事が面白かった
例えば、使い切らずに充電するのはよくない、という話。ニッケル電池だと確かにそういうことがあるけど、最近は改良されてきている。リチウムの場合は、それはない。むしろ、使い切ってから充電する方がよくなかったりする、とか。


Newton (ニュートン) 2012年 04月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2012年 04月号 [雑誌]