『SFマガジン2012年2月号』

日本作家特集の4本を読んだ。
普通にさくさく読めて、面白かったけど物足りない感じ。
SF設定がすごいというのではなくて、SF設定を背景においてそこから紡ぎ出される物語の叙情の方に重点がある、とでもいえばいいのだろうか。

資源が枯渇し民族紛争を続ける近未来の南ア。
仲間と強盗をしている少年と、アフリカーナー(南ア生まれの白人)の少女が、紛争を終息させていく話。
彼らが暮らしている街には、放置された少女型アンドロイドの工場があって、落下試験を延々と繰り返している(屋上から少女が降ってくる)。その中の1機と目があう。
時間がとんで、大人になった2人は南アの紛争をとめる重要人物となっている。少女の方は既に死んでいる。
アフリカーナーを救う計画。民族ごとアンドロイドにしてしまう。
あらすじのまとめ方が雑になってしまった……。
前半よかったんだけど、後半が早かったような気がした。細切れに読んでしまったせいかもしれない。短編なので一気に読めればよかった。

初めての十文字青
いよいよ格差と貧困が定着して、若者に絶望が広がっている近未来の日本。
主人公の少年2人は、ミストと呼ばれる新しいタイプのSNSを通じて、「殺せばいいと思うよ」という言葉を流行させて、大規模な同時多発殺人を行おうとする。

  • 片理誠「不思議の日のルーシー」

ある日、主人公の男の子が外を歩いていたら、猫を探しているという女の子と出会う。その子は、聞くと隣の家の子らしいのだが、隣の家にはそんな子も猫もいなかったはず。不思議に思いながらも、2人は一緒にその猫を捜すことに。大人たちは2人の姿を見ると、何故かみんな頭が痛くなってしまう。
その後、男の子は町で変人として有名なSF作家ヘンリーさんにこの話をする。すると、ヘンリーさんは、パラレルワールドがくっついてしまったのではないかというメッシュワールド仮説を教えてくれた。
パラレルワールドものなんだけど、少し不思議でセンチメンタルな感じを味わう系(?)。イラストもそれに一役買ってると思う。

  • 倉数茂「真夜中のバベル」

主人公の少女の幼なじみは、生まれつき普遍文法のパラメータがセットされておらず、あらゆる言語を瞬く間に習得してしまう。それ故、幼い頃から実験や外交に引っ張り回されてきた。
あるとき、黒服の男たちが彼を拉致しようとする。彼と少女、彼を幼い頃から知っている言語学者の3人で逃亡する。
彼の脳内では普遍文法に関する領野が拡大して、他の機能を圧迫していた。
最初設定見て、友幸友幸か、と思ってしまったw
言語によって人は人になったのだとかそういう話もあるんだけれど、これもやはりそういう設定部分より、不思議な力を手に入れてしまったが故にうまく生きられなくなった幼なじみとの最期の時を過ごすという部分に重きを置いて読む感じ。


S-Fマガジン 2012年 02月号 [雑誌]

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