アレステア・レナルズ『量子真空』

すごく…分厚いです
何はともあれまずはそれ
ググってもググってもどの感想もまずはそれ
ハヤカワの棚でもひときわ目立ってるしね
ただ、いい意味でも悪い意味でもその分厚さを全く感じさせないのがレナルズ
非常にサクサクと読める
「えっ、もうこんなに読んじゃったの」と思うこと間違いなし
しかしこれには、「もうこんなに読んじゃったのに、話が一向に進んでないよ」という意味もあり、非常に不安になります


『量子真空』は、今までのレベレーション・スペースシリーズの総決算とでもいうべき感じで、今までの登場人物が出てくるし、SFネタもさらにパワーアップしている(はず)ので、長編3つの中では一番好きだが、物語の出来は一番悪いかもしれない…
何故、何故に近光速船強奪シーンを全部省略するのか、と


ストーリーメモっとかないと忘れるなあ(実際今までのをちょこちょこ忘れてて、読んでてちょっと困った)と思ったんだけど、結局面倒なのでやめる


言いたいことは二つ。
フェルカなんだかんだいってかわえぇ
ロリババアにしてサヴァン。そんでもって、風呂に入らせないとかレナルズ、マジ変態
量子真空状態4とイクソーディアム実験で、並行世界が出現しやがった。未来からのメッセージだったり、人の存在を抹消したりと好き勝手暴れてるわりに、扱いが地味。ってか、何なのか全然わからんまま。
あ、3つあった。
タイトルね。RedemptionArk贖罪の方舟?(中二っぽい)
船長にしろ、アントワネットの船にしろ、オスマンにしろ、罪悪感のポイントが分かりにくい。
レナルズ作品の最大の欠陥は、登場人物のモチベが理解しがたいってこと。
そういう意味では、カズムシティはよかったかもしれない。今回のボリョーワとクラバインはまだいいんだが、クーリとかアントワネットとかは分かりにくいなあ。豚の軍は何故あんな黙々と従うんだ(最下層におけるヒーローたるスコーピオへの忠誠と説明されてはいるが)。

量子真空 (ハヤカワ文庫SF)

量子真空 (ハヤカワ文庫SF)