『ぜんぶ、フィデルのせい』

やっと見れた。『グッバイ、レーニン』はTSUTAYAになかった。
フランス映画。フランス語を久しぶりに聞く。90分見てたら、簡単な単語ならば聞き取れた。
ドゴールが死ぬところから始まって、アジェンデが死ぬところで終わる。
主人公のアンナが、賢くてプライドのある少女で魅力的。
裕福な家庭の両親が、突如左翼運動に目覚めてしまい*1、生活が一変してしまう。
狭い家に引っ越すことになり、同志(?)が夜遅くまで議論を交わし、仲の良かったお手伝いさんが別の人に変わってしまう。最初のお手伝いさんは、キューバ出身でカストロ政権から逃れるようにしてフランスにやってきた。「ぜんぶ、フィデルのせい」は彼女のセリフ。ギリシャ出身のお手伝いさん、ベトナム出身のお手伝いさんが次に来る。
アンナはもともとカトリックの女子校に通っているが、宗教の授業を親から受けさせてもらえなくなる。その代わりに(?)、お手伝いさんからギリシア神話ベトナムの民話を教えてもらったりしている。
以前の生活とのギャップに耐えられなくて反抗するという筋だが、アンナは実に賢くて、大人達のことをよく見ていて、鋭い考察をしている。
大人達のやっていることも、出来る限り子どもの視点から映し出されるようにして展開していく。
弟が無邪気に、大人達の使う語彙を身に付けていったりしているのが可愛くて面白い。
父親の方は、スペイン貴族の息子だったらしいが、早々にフランスに渡っていて、夫を死刑で失った姉とその娘が渡仏してきたのをきっかけに、左翼運動に接近していくことになる。姉の方はもうそういうことはうんざりだと思っているようだが。
物語の前半、両親はそろってチリへ向い、そこで「目覚め」てしまい、アンナの生活は一変する。
物語の半ばあたりで、母親の姉妹が中絶する。それをきっかけに母親の方は中絶女性のインタビューを本にまとめるようになる。だが、本が出版されると、父親の方は突如それに反対し始める。
アンナは次第に、学校の友達や学校の方針とそりがあわなくなってくる。
羊が狼に殺されたのは神様の罰だという先生の話に、アンナはボルドーの祖母の家でキツネが罠から逃げた話をして反論する。ちなみに、これを見たのは両親に反発して家出したとき。
アンナは普通の小学校に転校することにする。普通の小学校に戸惑いながらも、輪に交じっていくシーンで終幕。


「アンナは団結の精神と人まねをいっしょにしてしまっているんだ」「パパは、団結と人まねをちゃんと区別できるの?」
「今は間違ってないってどうしていえるの」


デモで一人放り出されるシーンと、弟の手を引いて早足でパリの街を歩くシーンとかよかった。

ぜんぶ、フィデルのせい [DVD]

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*1:父親が弁護士、母親が雑誌記者で、もともとリベラルっぽいのでまあ突如、というわけでもないかもしれないけど