大塚英志『アトムの命題』

大塚読むの久しぶり
大塚なのでやっぱり政治的に読むように言ってくるのだけど、漫画史研究としてちゃんと読める。ちゃんとって何だw
いや、でも大塚的な皮肉とかはほとんどなかったかもな。
っていうか、宮本大人伊藤剛の研究との連続性もすごくあるし。
しかし何より、ロシア・アヴァンギャルトというかソビエト映画理論が大正アバンギャルドを通じて日本のマンガを形作ったのだという話は、はじめて知ったので、滅茶苦茶面白かった。ここらへんの研究って他にもっとないもんかね。
大塚は、現代日本の戦時下というのを読者に意識させようとするから嫌がる人は嫌がるだろうけど、表現が歴史や政治性に影響を受けるのは当然なので、そういうのを明らかにする研究はやはり面白いのだよな。
戦時下のマンガ表現の話だけど、ソビエト政権下の映画表現だってそういう前提で作られていくわけだし。

アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題 (角川文庫)

アトムの命題 手塚治虫と戦後まんがの主題 (角川文庫)