結果報告

とはいえ、一体何から書けばいいんだろうか。色々ある。でも、うまく言葉に出来ないかもしれない。
まずは各チームの勝敗についてから。
これは、ずっとゼロアカのまとめ記事を書いてきてくれたid:noir_kさんの記事に載っている。得点表としてtokadaさんのtumblrも。ところで、noir_kさんとtokadaさんは、はてなの二大ゼロアカ・ウォッチャーだったと思う。noir_kさんはダイアリで、tokadaさんはブクマで。

1 project1980(やずややずや、三ツ野陽介)
2 最終批評神話 (村上裕一、峰尾俊彦)
3 形而上学女郎館 (筑井真奈、雑賀壱)
4 フランス乞食 (坂上秋成、山田あずさ)
4 BL・やおい文学研究所 (斎藤ミツ、文尾実洋)
6 文芸空間 (松平耕一、天野年朗)
7 筑波批評社 (塚田憲史、シノハラユウキ)
8 Xamoschi (藤田直哉、井上ざもすき)

やずやさん、三ツ野さん、村上さん、峰尾くん、筑井さん、雑賀さん、坂上さん、斎藤さんの8人が第5関門へと進む*1
でも、僕はこの勝敗の結果にはそれほど感慨がない。いや、坂上さんが道場破りを成功させてくれたこととか、細かいところで色々思うところはあるけれど。
今後他の参加者も、各自のブログで報告などを書いていくだろう。みんながみんな、思いを露わにするかどうかは分からないが、この結果に喜んだり悔しがったりしているのだと思う。それに対して、「それほど感慨がない」とか言うのはよく思われないかもしれない。
僕はそうではなくて、自分があの場所にいたということに対して、感動している。勝敗よりもそちらへの思いの方が圧倒的に強いのだ*2
あんな場所が成立していて、そして自分がそこに参加しているということに。
信じられないようなことが次々と起こって、奇跡が起こっていたとしか言いようがない。
東・太田両氏は、再三あそこで起こっていたことを事件と称していたように思う。
あの場にいなかった人たち、あるいはあの場にいた人たちであっても、彼らの言い方は大げさなものに聞こえるかもしれない。また、今後どのように評価されていくかはまだ分からない。もちろん、5チームが500部を完売、残り3チームも400部以上という売り上げや来場者数といった数字において、大きく記録を塗り替えているのだから、その意味で事件であることは誰もが認めるだろう。ただ彼らが言っていたことは、多分さらにそれ以上のことだ。
あの渦中のただなかにいた僕は、全く大げさだとは思わない。
明らかに何かとんでもないことが起こっていて、そして僕はそのとんでもないことを起こしている側の人間の一人だった。
僕は、自分が才能であっても努力であってもそれほどすごくはないことを分かっている。というか、自分よりもよっぽどすごい人たちが沢山いることを知っている。でも、その自分があそこに立っていたのだ。
数え切れないほど多くの皆さんに、「ありがとうございました」と「お疲れ様です」を伝えたい。
まずは、このゼロアカ道場破りで僕の相方であった、id:Muichkineこと塚田くん。彼がいなかったら、僕は道場破りなどしなかった。彼について言いたいことは山のようにあるのだが、やはりそう簡単には言葉にならない。
そして、id:klovid:tsuttonid:SuzuTamakiid:K-AOI、つまり筑波批評社のメンバー。彼らのフォローはとても重要なものばかりだ。
それから、インタビューに快く応じてくださった、藤村龍至、秋梨の両氏。寄稿してくださった、渡邉大輔、高橋志行、工藤郁子、佐藤翔の各氏。僕の予想を遙かに上回る素晴らしい原稿が出来た。そして、彼らの言葉を送ることができたことを誇らしく思っている。
シノドス芹沢一也荻上チキの両氏にもコメントを頂いた。
オフで、ブログで、twitterで、ustで、応援してくれたみなさん(ここからはもはや名前をお一人ずつ挙げていくことは難しいので書かないが、それでも誰かの名前を挙げるとしたら、まずはid:i-Agなのは間違いない。それから、当日の宣伝ポップ用に似顔絵を描いてくれたH川さんも)*3
そしてもちろんのことですが、文学フリマまで足を運んでくださって、手に取り、買ってくださったみなさん。
400部以上も売れるだなんて全く予想だにしていなかった。また今回も、イベントを通じて多くの貴重な出会いがあった。
ゼロアカ道場を主催している東浩紀太田克史の両氏。講談社BOXスタッフの皆さん。
道場破りという破格のチャンスを作ってくださったことに。
文学フリマ事務局の望月倫彦氏。そしてスタッフ・ボランティアの皆さん。
文学フリマという場を作り続けてくださっていることに。
そして、ゼロアカ道場に参加したみなさん。特に第四関門に参加した門下生・道場破りのみなさん。ゼロアカ道場生が何か密接な関係を築いている、それはもう否応なしに、ということがよく分かった。道場破りということで、門下生同士の繋がりにはかなわないだろうけれど、みなさんと出会えて本当によかった。
さらに、文学フリマに参加した全ての皆さん。サークル参加した方も、一般来場した方も。僕は、結局終日売り子をしていて、見て回ることが出来なかったけど。
それから、文学フリマ当日まで、文フリとゼロアカをネット上で盛り上げ続けていた、ウォッチャーの皆さんにも。
こんな大事件が起こったのは、今あげた人たち、そしてもしかするとまだ挙げ切れてない人たちもいるかもしれないけれど、とにかくこれだけ多くの人たちが参加したから。
本当にお疲れ様でした。
ありがとうございます。


文学フリマ当日のことを日記として書いておくことにする。
twitterにポストしていたので、それを参考にしつつ。
当日最初のポストは、「おはようございます。眠い。寒い。am6:09」「むいしゅきん、klovと合流am7:03」「秋葉原着am8:13」
文学フリマの会場に8:00集合だったのだが、TXを一本乗り過ごしてしまい、15分ほど遅刻した。
文学フリマスタッフ、講談社ゼロアカ道場スタッフ、ゼロアカ道場参加者で机や椅子を並べるなどの会場を設営をする。
それから、ゼロアカ道場の事務連絡などを受けて、自分たちのブースの設営をする。


500部という未曾有の数が搬入されてくる。一体何箱あるんだ、という感じ。
講談社BOXスタッフが部数を数えるということで、次々と箱から出されて机の上に山と積まれていく。大丈夫なのか、こんなにあって、本当に。
東さん到着。太田さんも遅れて到着。10:30には点数が発表される。
それから、取材もたくさん来ていた。一日中、取材のカメラが回り続けていた。僕も撮られているので、いつかどこかに掲載されたり公開されたりするでしょう。
点数発表については、klovがtwitterで実況していたので引用。

【文フリ】望月さんの話ののち、講談社の太田さんの話。[浮動要塞amadana] 10:43 AM
【文フリ】続いて東氏の話。[浮動要塞amadana] 10:44 AM
【文フリ】東点、ざもすきチームが200、最終批評神話180。強い。[浮動要塞amadana] 10:51 AM
【文フリ・ゼロアカ】訂正。200点はやずやチーム。[浮動要塞amadana] 10:57 AM
【文フリ・ゼロアカやずやチーム、みねおチームが頭一つ抜けています。後は団子。皆さんのお越しをお待ちしております。[浮動要塞amadana] ... 10:58 AM
【文フリ・ゼロアカ筑波批評社は僅差の4位。ただしほぼ誤差の範囲内なので、4位以降はほぼ同値と見てもいい。[浮動要塞amadana] ... 11:04 AM
@min2fly 批評社は合計120点です。やずやとみねおが審査点はぶっちぎってますね。[浮動要塞amadana] 11:13 AM

詳しい点数は、上で紹介したid:noir_kさんの記事を参照のこと。
11時会場。一般列とゼロアカ列が分けられていたらしい。ゼロアカブースは、ゼロアカからしか入れないようになっていた。最初は、10人か20人くらいずつ入場してくる。
最初の1時間か2時間は、8冊全部買っていく人が多かった。もちろん、1冊だけ、3〜4冊くらいとか色々な買い方の人がいたが、とにかくゼロアカ目当ての人たち。
「すごい勢いで売れてるけど、他のチームの勢いもすごい! みんな 筑波批評をよろしくお願いしますー!! ... 12:19 PM」
最終批評神話』が飛ぶように売れるのは、まあ予想のついたことだが、フランス乞食の『Plateau』がとにかく売れた。すぐ隣だったので、これにはすごくドキドキさせられた。『Plateau』は買っていくのに『筑波批評』は買っていかない、とか。それは、反対側の『新文学』でもそうだったけど、『Plateau』の売れ方は全く予想外だったので。
そうそれから、文学フリマだというのに、ゼロアカ参加者は全員立って、声を張り上げて売っていた。普通、文学フリマ(他の即売会もそうだと思うけど)の売り子は、ずっと座っていて、声もださない。声を張り上げたりしたらお客さんは怖がって(?)来てくれない。
でも、ゼロアカブースは全く逆。
直接の友達や知り合い、あるいはtwitter-er、それからust見てますよと声をかけてくれる人なども来てくれる。ゆっくりと話すことができなくて残念だった。普段の文フリならば、オフ会みたいになっていくのだけれど。
ある程度の時間までは忙しいと思っていたが、終わるまで忙しいままだとは思わなかった。そんなわけで、買いに行くことが全くできなかった。かなり色々なところを買い逃すことになってしまった。色々と欲しいところがあったのだけど。お使いに頼むという選択肢もあったのだが、それすらも出来ないほど忙しかった。
「あとで買いに行きます」と言ったのに買いに行けなかった人たちも沢山いて、申し訳ないです。
というか、本当に残念。
とはいえ、いくつか手に入れたものもある。ただ、話がちょっと前後してしまったので、twitterのログに戻る。

売り上げ中間発表集計中 1:07 PM
売上中間発表 ケフィア343部 峰尾360部 形而 上学300部 筑波批評250部 1:10 PM
売り切れが出た場合、売り切れが早ければ得点加算 1:12 PM

ここで急遽新ルールが付け加えられる。
売り上げの勢いからみて、500部完売チームが複数出ることが予想された。今回採点は、東点+太田点+売り上げ点であるが、完売が複数でると売り上げ点の差がなくなってしまう。文フリのお客さんからどれくらい評価されてたかということを反映させるために、完売の速さによって得点を加算するとのこと。
そして、実際に完売が続出する。

最終批評神話残り20? フラこじ100部切った 1:59 PM
最終批評神話 売り切れ!! 2:10 PM
ケフィア売り切れ! 2:42 PM
筑波批評は残り120部くらいです 2:43 PM
腐女子チーム売り切れ! 3:06 PM

ケフィア最終批評神話の進出が決定する。腐女子チームは、東・太田点が低いので及ばず。
今回の文学フリマには、家族連れが多く見られた。懇親会の時に、腐女子チームの文尾さんにそのことを話していたら、一人一冊ルールなので家族や夫婦で来たと言っていたらしい*4。僕たちのところにも、ちっちゃい子が500円持って来たりした。
腐女子チームは、完全に他チームとは客層が違った感じがする。それが吉と出るか凶と出るか始まってみるまで分からなかったが、売り上げの結果だけ見ると当たったのだと思う。一冊だけ買っている人というのは、大抵『腐女子の履歴書』だったような印象がある。

俺らも完売したい! 3:07 PM
形而上学とフラこじが3位争い中らしい。15:46までにフラこじが売り切れると勝ちらしい。 3:09 PM
筑波批評残り100部 3:31 PM
形而上学が売り切れ! フラこじ勝利ならず 3:41 PM
道場破りは門下生に勝つことができなかった……! 3:42 PM
フラこじ売り切れ! 3:47 PM

フランス乞食の坂上さんは、ずっと声を張り上げていたが、後半は特にすごかった。
そして最後の一冊になった。「最後の一冊!」でも、誰も手を挙げたり前に進み出たりしない。思わず、「俺が買う」と手を挙げていた。というわけで、僕が文学フリマ開催中に唯一買った同人誌は『Plateau』だった。
実を言えば、フランス乞食には負けたくないと筑波批評社はずっと思っていたし、実際勝てると思っていた。だから、スタートから売り上げで離されたとき、普通に焦った。負けたくねーと思った。でも、3位争いということが分かってきた辺りから、負けたくねーという気持ちと一緒に、道場破りを一組でも勝ち上がらせないとという気持ちも出てきて、心中複雑だった。
ところで、僕は文学フリマの参加はこれで3回目。初参加はちょうど去年の同じ時期の文学フリマだった*5。その時、やっぱり初参加だったサークルに、東京学芸大学現代文化研究会というのがあって、『F』という同人誌を出していた。確か、斜向かいくらいの位置だったと思う。初参加だったので、ちょっとでも気になったのは片っ端から買っていったのだけど、これはとても面白くて、ブログでもかなり詳細に感想を書いた*6
そして、今年の春の文学フリマでは、『F』Vol.2が出ていたので、やはり買った*7
今回の参加サークル一覧を見ていたら、東京学芸大学現代文化研究会の名前はなくて、残念に思っていた。そしたら、スズキロクさんが『F』Vol.3を持って、筑波批評のブースまで来てくれたのだ。これにはすごくびっくりしたし、すごく嬉しかった。今、忙しいので、いつ読めるか、あるいは今までのようにブログに感想を書けるかというと難しいのだけれど、必ず読みます。
それから、id:anisopter02さん。やはりブースは取れなかったようなのだけど、会場で手渡しで配布していた『複数性のパラドクスを超えて』を頂きました。
それからそれから、文学フリマが終了し会場の片づけが終わった頃、id:Thornさんから、幻視社第三号と科学魔界50号を購入。id:kugyoさんから、早稲田現代文学会『リブレリ』を頂きました。
今回の文学フリマでの戦利品は以上。
そうえいば、id:leibnizことmonadoさんがustreamを敢行してました*8

文学フリマustするhttp://www.ustream.tv/chann... 1:24 PM
よゆうがあれば東浩記に突撃する 1:25 PM
あずまひろきにききたいことある?http://www.ustream.tv/chann... 1:37 PM
東浩紀のインタビューとれてた。http://www.ustream.tv/recorded/851244 4:52 PM

16:00の終了まで、会場はずっと人であふれていました。
こんなに人の多い文学フリマは見たことがない。多分、今まで誰も。
最後に、望月さん、東さん、太田さんの挨拶があり、ゼロアカの結果が発表される。そして片づけ。
懇親会会場へと移動。
96名が参加したらしい(訂正。94名だったらしい。いや、大して変わらないけど。https://twitter.com/tokada/status/997559996)。全然知らない人なんかももちろん沢山いて、お話することができなかった人も多いのですが(あとでtwitterとかを見ると来ていたようなのに話せなくて残念という方もいたり)、それでも色々な人に挨拶をしたり話をしたりすることが出来ました。
懇親会中のイベントとしては、東・太田の抱擁。藤田、もみあげ断髪式。佐藤友哉来場などがありました。
20時に終了しその後、人数を縮小して飲み会へ。それでも結構な人数がいましたが。
最後に東さんに挨拶しに行ったとき、何故か感極まって泣いてしまった。それまで僕は全く泣くようなテンションではなかったし、その時も自分が何で泣いているのかさっぱり分からなかった。
例えば僕はその飲み会の席で、藤田さんから「sakstyle、お前もっと悔しがれよ」と言われたりするくらいだった。もちろん、負けた人みんながみんな感情を露わにして悔しがっていたわけではなかったと思うので、僕だけ浮いていたということはないのだけど。
帰りのTXの中で、塚田くんやklovと話したり、あるいはお礼のメールを送ったりしながら、確かに自分は今日一日中テンションが高くて、そして何かに感動しているんだなと思った。
「昨日は、10時頃までゼロアカ飲み会に参加。帰筑してから、サークルの人と合流して3時くらいまでファミレス。」「帰宅してから、 twitter 、東スレ、未読フィード(の文フリ関係)を見てから、さらに、はてダと mixi 日記で「ゼロアカ」で hit したのを読み、朝の8時くらいまで起きてた」
何だか滅茶苦茶長くなった。まあ、何かの記録として。

*1:何故6人でなく8人なのか、あるいは点数については、上述のnoir_kさんの記事を参照。詳しい理由は、後日オフィシャルの発表があるでしょう

*2:これは本当に参加者それぞれによって違うと思う。僕の場合、勝負ごとに鈍いという性格のせいもあるかもしれない

*3:http://d.hatena.ne.jp/tsukubahihyou/20081108/1226099881も参照

*4:そうやって連れられて、初めて、今まで全く知らなかったであろう文学フリマに来た人もいるだろう。そういう人たちの中から、これからも文学フリマやそれに類する活動に興味を持ったり参加したりしてくれる人が出てきたらいいなと思う。そうなってこそ、ゼロアカが文フリで行われた意味がある

*5:まだ1年しか経っていないのか!!

*6:http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20071117/1195302962

*7:http://d.hatena.ne.jp/sakstyle/20080519/1211186035

*8:音声のみ