『スカイ・クロラ』『崖の上のポニョ』

この夏話題の映画を一気に見てきたよ!
スカイ・クロラ』は燃え萌え映画
崖の上のポニョ』はあまりに意味不明で怖い
という一言で、自分の感想はほとんど言い尽くされている。


この二本をまとめて評するのであれば、
宮崎・押井の両巨匠が「俺の考えるセカイ系」を作り上げてしまったという感じ。
まあ、セカイ系ってなんぞやということになってしまうので、このまとめはちょっとあまりにもざっくりすぎるのだけど。
押井であれば、若者に希望を伝えたい、宮崎であれば、神経症の時代に立ち向かうために、といった企画意図があったとされる両作品であり、見た人の反応を見ているとそういったメッセージを受け取っている人もいるようだが、自分はそこらへんは何とも掴み損ねてしまった感がある。
そういうわけで、「俺の考えるセカイ系」というふうに受け取ってしまった。


あとは、ただ気になったところを羅列していくことにする。
個人的なメモでもあるため、真面目な話、萌えトーク、どうでもいいこと、ネタバレが何の断りもなく並ぶと思われるので、読む人は一応注意してください。

スカイ・クロラ

最初に驚いたのは、配給がワーナーだということ。松竹だったような気がするが、国内配給でも、今はワーナーがやったりしているのか。
そのついでにいうと、スカイウォーカー・サウンドも参加してて、へーっと思った。
スタッフでいうと、大体いつもの押井組だよなってところに、脚本だけ全然知らない人で、脚本監修として行定の名前もあって、何だろうと思った。パンフレット読んで知ったけど、脚本の伊藤ちひろは、81年生まれのかなり若い人だった。行定作品の脚本を書いたことがあって、その縁でこう本作に、ということらしい。
押井組といえば、南雲隊長と竹中直人。最初に出てきたときに思わず「南雲隊長!」と心の中で言ってしまった。それから、犬。
加瀬亮が、全然悪くなかった。
ただ、加瀬亮谷原章介は、声だけ聞いていると、本人の顔が浮かんでくる、どうしても。谷原章介はすごくうまかったけど。
あと、菊池凛子も悪くなくて、結構あっていた。ところどころ、うわ、下手だなあと思うところはあるにしても。そしてやはり菊池凛子も、本人の顔が浮かんできてしまう。
栗山千明は気付かなかった……。


散香、かっこよかった。
エンジンってそうやってかけるのか、とか。あれは、増漕を捨てているシーンだったのか、とか。
自分は全然戦闘機知識や飛行機知識や戦史知識がない人間なので、細かいことが全然分からないのが歯がゆいのだけれど、ドッグファイトは堪能した。
押井映画としては、かなり戦闘シーンの長い作品だったのではないか、と思う。
カメラも戦闘機に乗ってるような風に撮られていて、何というかフライト・シュミレータ的な感じ。
目まぐるしく変わっていくので、もう一度見たいなあ。
イノセンス』はやたらとCGがゴテゴテしてたけど、今回はそうではなく、むしろセピアのフィルターをかけたり、ぼやっとさせたりさせていた。
セピア色になるので、Avalonだなあとちょっと思った。
絶対に倒せない敵がいる、というのも、Avalonの特Aみたいだなと思った。
Avalonっぽいというと、街や路面電車も。ポーランドでロケしたらしいので、当然といえば当然か。
戦闘機の出撃シーンが、かっこよかった。一機ずつフレームインしてきて、滑走路に並んで、そして飛び立っていくところ。
あと、重爆のデザインもすごかったなあ。
とにかく、空戦はかっこいい。大作戦の編隊飛行もかっこいい*1
そういえば、何でみんな、ティーチャーに対して一機で挑むのだろうか。
歩兵で2人一組が基本というのは分かるとして、実際に戦闘機も2機一組が最小単位だったりするんだろうか。
戦闘シーンの絵もキレイだけど、灰皿に並ぶタバコとかもやたらとキレイだったりする。


燃えが戦闘機だとして、萌えは草薙水素(クサナギ・スイト)。「クサナギシ」と呼ばれているので、ここでもクサナギシと書く*2
完全に人形の顔になっちゃう時は怖いのだけれど、メガネかけてタバコ吸っているところは、ヴィジュアル的にも萌える。おかっぱはそれほど好きな髪型ではないのだけど、前髪パッツンでないので問題なし。前髪パッツンは苦手。
顔の話をすると、いつもの押井作品以上に、みんな顔がツルンとしているイメージ。一番最初に、カンナミの顔が出てきたときは、(背景画などと比べて)かなり違和感があった。まあ次第に馴れるけど、眼とかは虚ろ。あと、体型がみんな撫で肩で、ボーリングのピンみたいなかたちをしている。それでゆらゆら揺れながら歩いているのが、結構いいなあと思った。
「殺してほしいの? それとも殺してくれる?」
エロいです。萌えます。
僕は以前、ダブルブリッド論と称して、セカイ系における恋愛とは殺し合い(戦争)であると論じたことがあるのだが、まさにそれを地でいっている感じで、その上、お互いに拳銃を握りあいながら震えるところに、萌えまくり。
大作戦のシークエンスとクサナギシと車に乗るシークエンスで、燃え萌え。


ところで僕は、ダブルブリッド論において、恋愛がセックスとしてではなく殺し合いとして表現されるところに、セカイ系ないしライトノベルの極のようなものを見いだそうとしたわけだけれど、『スカイ・クロラ』には、セックスも殺し合いもどちらもある。
つまり、クサナギシの娘の存在である。
とはいえ、この娘、登場したかと思うと、あっという間に犬と同じポジションになってしまったので、一体何だったのかよく分からないままなのだけど。
キルドレ(子ども)と大人、という二項があるとして、クサナギシはそのどちらにも属している。それは彼女が、司令官でもあり、娘がいるという点に拠っている。
例えば、レイタイプとの恋愛がセカイへの閉塞、アスカタイプとの恋愛がセカイからの脱出と、非常に単純な図式を仮定するとて、草薙がレイタイプ、三ツ矢がアスカタイプではあるだろうが、セカイとの関係は逆転する。つまり、草薙はセカイというループの中に自足しているが、彼女のセカイはキルドレのセカイとして閉じているわけではない。三ツ矢は、キルドレのセカイ・ループを疑っているが、その中に閉じてしまっている。*3
だから何なのか、といわれると、だから何なのかよく分からなくなってしまった。
あと、フーコとかもいるしなー。
そういえば、ジンローという名前に、ちょっとニヤリとした。いや、ニヤリじゃないけど。娘の父親は、ジンローだと思うけどな。
Avalonは、特AをクリアしてもなおAvalon
ティーチャーは絶対倒せない。I killed my father. しかし、殺せない。それ故、戦争は続く。
ティーチャーは、全てのキルドレの父であり、この「戦争」のシステムなんだろう。別に、娘の父親がティーチャーであっても構わないといえば構わないのかー。父親と相姦して、愛する相手とは交わらない、という構図。ダブルブリッドはそうだった。


そして、カンナミの最後のセリフ。
「同じ道でも風景は違う。それだけではいけないのか」
うーん。
話とか設定とか、そういうのは、押井作品とは思えないほどに、圧倒的に分かりやすいのだけれど、何かうまく腑に落ちていないんだよなー。
燃え萌えしてれば、別にいいんだけどさー。
オルゴールとかそういった小道具類とかがいちいちかっこいいからね。
まああと魚眼レンズとか、演出とか構図とかが、「ああ、押井っぽいよなあ」とか思ったりして見ていられる。
まずい飯を食うシーンはあるが、美味い飯を食うシーンはない、とか。
レストランの奥さんが、「アスカー、どこー?」と叫ぶシーンがあったと思うのだけど
、あれは一体何だったんだろうか。
<追記>
下記コメント欄より、あれは「マスター、どこー」だとの指摘。
ありがとうございます。
これで、「アスカって誰だよ」という疑問は解消されたわけだが、しかし、このセリフそのものが何なのかということは、いまだに謎。マスター、どこにいったのさ。確か、この直前に、老人の隣に座ってたよね、マスター。
<追記終わり>

設定に関して言えば、ヨーロッパはどうなっていて、戦争会社って一体どういうものなのか気になるといえば気になるけれど、むしろ日本がどうなっているかの方が気になった。ヨーロッパなのに、あそこには日本の新聞が来ているのは何故なんだろうか、とか。
あと、何だろう、ボーリングが自動化されたのは60年代のことらしいよ。

崖の上のポニョ

とりあえず、話が全然理解できなかったなあ。
筋がどうなっているのかは分かるのだけど、一体こいつらが今何やっているのかが、いまいちよく分からなかったというか。
見ながらずっと、「わけわからん、わけわからん」と思いながら見ていた。
何が分からなかったのかも、よく分からない。
宗介って、ポニョに対して「ポニョ、○○だよ」としか言っていないような気がする。
何なの、こいつ。
リサさんが、BAKABAKAやっているシーンとかは、とてもいいんだけど、あの人、グランマンマーレと一体何を分かり合ったんだろうか、とか、そもそもポニョがいなくなったときに、「運命なのよ」とか言い出すあたりとか、よくわからんかったなあ。
フジモトはよかった。フジモトは愛されキャラだよね。
トンネルから出るところで、突然(多分)クラシックの曲が流れ出すのだけど、何であそこでクラシックなのか。あのトキさんは一体何なのか。トキさんにスローモーションで突っ込むけど、結局、ひまわりに行くじゃないか、とか。
あと、ぐにゃぐにゃしてたり、わさわさしてたり、そういうの宮崎駿は好きだよなー、でも気持ち悪いなーと思ったり。
メタモルフォーゼがやたらと多い。
船である夫人と赤ちゃんとか、あのシーン、怖いんだよな。赤ちゃん、泣き出すあたりが。もう完全に意味不明で。怖いといえば、空っぽの車椅子が並んでいるシーンも怖いけど。
夫人と旦那さんは、トトロっぽいんだけど、その後に出てくる船団は、ぽんぽこっぽい。ぽんぽこといえば、キャラの見た目が三変化するというのは、ぽんぽこにもあった。
ポニョの三変化は、魚→カエル→鳥→人間ということなのか。
船とか、発電機とか、マニュアル車とか、ドッグとか、そういう細かいメカ描くのも宮崎は好きだよなー、ああいうのはかっこよかったなー、でも最後に、護衛艦とか輸送ヘリとかまで出てくるのは一体何なんだ。
そういえば、ひまわりは何か膜に覆われて水没していなかったはずなのに、宗介とぽにょが着いた時には、完全に水中だったよなー。
「ポニョの正体が半魚人でもいいですか」という問いかけも結構怖いと思うんだよなー。
スタッフロールw


<追記>
大事なことを書き忘れていた。
『20世紀少年』の予告編が面白くなかった。
いや、映画版『20世紀少年』が面白くならないだろうということは織り込み済みとしても、予告編までもがああもつまらないものかな、と。

*1:あれだけの編隊って現実にはあったりしたのだろうか

*2:同僚の三ツ矢もまた、ミツヤシと呼ばれているんで、多分「氏」なんだろうけど、何故か自分の頭の中では草薙師と漢字変換されていた。司令官だから?

*3:僕は、見ている最中、三ツ矢死ね、氏ねじゃなくて死ね、とか思っていたわけなのだが、後から考えてみて、何故そこまで嫌悪したのか、と思う。三ツ矢がうざいというよりは、三ツ矢によるネタバレがうざかったからなのではないかと思う。でもなあ、うー