『InterCommunicationNo.65』

最終号。
横書きなので左綴じ。


山本貴光「コミュニケーションの思想――バベルの塔からバベルの図書館へ」
対談長沼毅・佐々木晶「宇宙生命の可能性と、人類と宇宙生命のコミュニケーションの(不)可能性をめぐって」
西川アサキ「なぜ、モップと語り合えないのか?」
が面白かった。
特に最後の奴は、何で他者とコミュニケーションがとれるのか、ということを、複雑系? というかシミュレーション科学によって解き明かそうとしているもので、刺激的。
理学の博士号とってる人らしいんだけど、参考文献が、安冨歩郡司ペギオ-幸夫ラカンドゥルーズ=ガタリで、うぉ、インコミュっぽいラインナップだけど、俺にはわけわからん世界だーって感じ。
タイトルは、作者の知り合いの統合失調症の人が、モップから話しかけられるって言っていたエピソードから。なぜ、モップとは語り合えないのに人間とは語り合えちゃうんだろうねって、すごい問題だよね。


他の記事も、大体何となく読んだ。
見開きで終わる記事が多いのと、あと対談記事とかだから、意外とすらすらとどれもこれも読めた。
すらすら読めたわりに、あまり頭に残っていない。
まあ買って損したという感じもしないけど。

追記080623

読もうと思って読んでなかった記事を読んだ
松井勝正「壁に描かれた暗号――バロックインターフェイス
レンブラントの《ベルシャザルの酒宴》の分析
絵の分析って自分じゃ全然出来ないので*1、こういうのを読んだりすると面白い。
奧にいる少女が、こちらを見ている。この視線によって、鑑賞者は表象空間に巻き込まれる。絵画のメタフィクションなのかなあ。
昨日の「美の巨人たち」でやってた絵*2には、こちらを見つめる少女が描かれている。
画家の絵具を少女がイタズラしたことがあって、画家は「絵の中に閉じこめるからな」といって叱ったらしい。そして描かれたのが、その少女だとか。
レンブラントの絵に戻る。絵の中に描かれている人物たち、そして絵を見ている鑑賞者を結びつけるのは何か、それは壁に描かれた文字である。ところが、その文字の意味するところは「分裂」
バロック絵画ってすごいね。並の小説より面白い物語と仕掛けが詰め込まれている。

Inter Communication (インターコミュニケーション) 2008年 07月号 [雑誌]

Inter Communication (インターコミュニケーション) 2008年 07月号 [雑誌]

*1:遠近法とかがよく分かってない

*2:オーストラリアの画家、トム・ロバーツの絵