『ライラの冒険 黄金の羅針盤』

この世界観は燃(萌)える!
原作は未読なので知らなかったのだが、パラレルワールドもの。
まあ、パラレルワールド云々の設定が使われるのは、2作目以降のようなので、とりあえずそれはおいておく。
19世紀くらいの雰囲気でファンタジー世界。
剣と魔法の世界も好きだけれど、やっぱ銃と魔法の世界の方が好きだ!
オックスフォード大学の中庭から飛びだって、イギリスの田園風景を抜けて、ロンドンの大都会へといたる飛行船に、うおぉと思えれば、あとはその勢いで見ていくことができる。
この世界の権力機構である、教権(マジステリアム)
放浪の民、ジプシャン
魔女族に鎧熊族など、この手のファンタジー世界に必要な燃(萌)え要素が見事に取りそろえられている。
北極圏が舞台なんていうのも、なかなか。
ジプシャンというのは、ジプシーとカリブの海賊を組み合わせたような人々で、アイヌ民族のような衣装を着ている。
強大な権力機構に、放浪の民が抵抗するっていうのは、あまりにもベタな感じもするけれど、「もしこどもたちを傷付けていたりしたら……ただではおかん!」と吠える、統領の熱さに盛り上がらざるをえない。
うちのサークルの用語でいうところの、ときめき*1
しかし、それよりも何よりもかっこいいのが、気球乗りスコーズビー。
西部のガンマン風老人。
出るタイミングを全くもって逃さない。
登場時のセリフもそうだが、ここぞという時に射撃の腕前をいかんなく発揮する。
鎧熊イオレク・バーニソンの「俺の背中に乗りたいのか」っていうセリフとかもよい。
この世界の大きな特徴として、全ての人がダイモンと呼ばれる動物を連れて歩いているというのがあるのだけど、これが映像としてなかなか面白い。
北方民族として、サモエド族とかタタール族とかが出てくるのだけど、タタール族はロシアコサック兵みたいな感じで、これがなかなかかっこいいのだが、vsタタール族の最後の戦闘シーンも素晴らしい。
ライラがかっこいいんだよ。


原作の長さを映画の尺におさえるためには仕方がないとはいえ、前半は、あまりにもテンポが早く進んでいくので、設定を理解するのに少し難儀する。
それから、その展開の速さゆえに、重要アイテムである「黄金の羅針盤」が単なる便利アイテムにしか見えない。後半になってくると、ライラの機知によってうまく使われたりするのだけど、矢継ぎ早に事態が変わっていく中盤はちょっと、という感じがしなくもない。
あと続きものだから仕方ないとはいえ、そこで終わるのかよってか、それなんて打ち切り? みたいな終わりかたをする。


パンズ・ラビリンス』のオフィリアは、見事なまでに薄幸の美少女で
だとすると、『ライラの冒険』のライラは、品のあるお転婆
物怖じしないで、走り回り、戦いもする。
そんなライラにみんなが夢中になって、みんなライラの言うことを聞くw


ところで、ファンタジー映画のタイトルロゴのフォントって、全部同じ気がする。
確かにファンタジーっぽいけど、あのフォントもう飽きた。

*1:広義の萌え。ベタなシチュエーションとか展開とかに対して使う