まず、フォントがかっこいいなーと思ったのだけど、単に最近、単行本で小説を読んでないから、そう思ったのだと思う。
少しずつ違う設定で、3つの話が書かれている。それぞれ次の話と何となく繋がっていて、もしかすると、ループしている。
リアリズムを揺さぶるような設定や描写が相次ぐ。そもそも、舞台が日本ではなく、神州国というあたりからしてそうだ。
神州国という設定は、『ロンリー・ハーツ・キラー』から使われているが、リアリズム云々といったことは、『ロンリー・ハーツ・キラー』以上。(訂正:『ロンリー・ハーツ・キラー』も架空の日本だが、神州国ではないと思われる。080404)
無間というか無限。
生がループしている。何度も何度も繰り返されている。
主人公(たち)は、繰り返し死に続けるのだが、それはまた繰り返し生き続けるということでもある。
そこからいかに脱出するのか*1。
その答えは、作品の中で決して明示されていない。
主人公(たち)は、少し狂った社会の中で、「主体性」のようなものを追い求めている。そしてまた、自分が「特別な存在」ではないかと思っている。そしてまさに、そこに繰り返しから脱出することの根拠を見いだしている。
しかし、それが上手くいっているようには見えない。
では、絶望的なんだろうか。そういうふうにも見えない。
- 作者: 星野智幸
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: 単行本
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*1:今書いてて気付いたのだけど、こうやって書くと解脱みたいだね