吉田修一『パーク・ライフ』

『パレード』ほどは面白くなかったなあ。
まあ、『パレード』が面白すぎたのかも、しれない。
というよりも、石川忠司の解釈があまりにも当てはまりすぎていて、石川のを先に読んでの先入観がありすぎて、そこから抜け出せなかったせいかもしれない。
しかし、この石川の解釈というのはとても面白いもので、だからこそ「パーク・ライフ」も読んでみたわけなので、別にこの作品が面白くないというわけでは決してない。
そして『パレード』同様、自分が書きたいこととわりと多くを共有しているとも思った。
昔の女の子の話とか、どうしろと(^^;
そして最後の

「よし。……私ね、決めた」と呟いた彼女の言葉が蘇り、まるで自分まで、今、何かを決めたような気がした。

という部分とかも、何だか近いなあとか。


同時収録されている「flowers」の方は残念ながらあまりピンと来なかった。
吉田修一の作品は、インテリ系が主人公の時と、肉体労働系が主人公の時があるらしくて、この作品は明らかに後者で、それで合わなかったのか……、とか。


そういえば、「パーク・ライフ」では、からだと言葉、という、まあありがちといえばありがちな二項対立的な図式がある。それを、音声を消したニュース番組でやってたのは、わりといいと思う。
「パレード」にも「パーク・ライフ」にも、体を鍛える人が出てくるけれど、それが肉体労働系の人を主人公にする話と繋がってたりするのだろうか。
からだと言葉、うーん。
面白いんだけどうまくつかめないな。そういうテーマは、SFとかでやってくれた方がピンとくる。例えば、ブラジルとか。

パーク・ライフ (文春文庫)

パーク・ライフ (文春文庫)