『キサラギ』

予想通りの面白さだった。
よい意味でも悪い意味でも、ほとんど予想を裏切らない感じ。
密室に5人の男(小栗旬ユースケ・サンタマリア小出恵介塚地武雅香川照之)が集まって、自殺したアイドルの死の真相を探っていく、というシチュエーションの説明だけで、この映画が、笑わせて笑わせて泣かせるタイプの芝居だと分かるわけだが、事実、原作は舞台らしいし、実際に見てみれば、笑わせて笑わせて泣かせてくれる。
脚本もよい出来だし、俳優も悪くないし、2時間分ちゃんと楽しませてくれるので、2時間ただ楽しみたいという人は見に行って全く損なし*1
問題点をあげるとすれば、既に多くの人がブログで言っているけれど、ラスト。
ずっとぼかし続けて映されなかったアイドル「如月ミキ」の姿が出てきてしまうこと。
それから、宍戸錠


キャスティングの上でも、内容の上でも、まあメジャーな映画でごく普通にこの夏のヒット作となると思われるこの作品*2なのだが、何故だか全くメジャーっぽくない点が一つある。
何故だかよく分からないが、『立喰師列伝』のオマージュとしか思えない、ということ。
立喰師列伝』と『キサラギ』の客層など、普通なら全くかぶらないと思うのだが。
キサラギ』は全編、とある一室を舞台に進んでいくが、時々回想シーンが挟まる。その回想シーンは、ストップモーションを組み合わせて撮られているのだが、その動き方がどう見ても『立喰師列伝』の例のあの動きなのだ。
映像の作り方自体は、『立喰師列伝』のようにいちいち写真を撮るなどという手間のかかったことはしていないと思うのだが、出来た映像はよく似ている。
で、「え? これ何? 『立喰師列伝』?」とか思っていたら、香川照之が「無銭飲食で捕まった」などと言い出す始末。
一体誰を笑わせたいのか?


小栗旬の声が、藤原竜也の声に似ていた気がする。


『キサラギ』公式サイト

*1:ただ、舞台で見た方が面白いだろうなあ、とも思った。かといって映画になって悪いかといえば別にそういうわけでもない

*2:と思うのだが、実際には上映館はそんなに多くないらしい