ボルヘス『伝奇集』

そもそもボルヘスは何を目指していたんだろうなー
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gginc 『本当にボルヘスは何を目指していたんでしょう。』

まあわりと前から読み始めていたのが、読み終わったということで、この問いに答える試み
とはいっても、何だか「眠い眠い」という時にばかり読んでいたので、ちゃんと読めていない部分も多い。短編だから、気が向いたときにてきとーにいくつか読み返したりしたい。


よくわからない話も結構多いのだけど、いくつかの作品*1は、無限を描こうとしているのではないかと思う。
読んでいる最中は、もうちょっとピッタリくる言葉を見つけていたんだけど、忘れてしまったので、とりあえず「無限」
その代表格が、「バベルの図書館」
その他、架空の書物や架空の世界を紹介している作品は、全て同じ系列だと思う。
ここでいいたい「無限」というのはつまり、可能世界全てが並列されている無限の論理空間の実在を信じて、それを描こうとしているのではないか、ということ。
あとは、それを具現化する観察者というかそういう存在との関係がないと話が始まらないから、そういう観察者による具現化というのもあったりするのか。
「死とコンパス」という話は、全然こういう話ではないけど、最後にゼノンのパラドックスが出てきてやっぱり「無限」かなあと思う。


かの「バベルの図書館」は、実は冒険ものであったのが意外だった。冒険ものだと思って読んだら冒険ものには読めないかもしれないが。
世界観が、BLAME!っぽい気がして、そのせいかもしれない。
ミステリっぽくなっている作品は読みやすいし、面白い。つまり「八岐の園」と「死とコンパス」
エッセー的な作品と幻想的な作品が、何の脈絡もなく並んでいたりして、それはそれで面白いが、それはそれで読みにくい。
あと、ユダヤ思想関係の作品は軒並みよく分からなかった。


伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

*1:多分、この短編集に収まっている半分くらい