アイザック・アシモフ『鋼鉄都市』

サスペンスとして面白かった。
人間とロボットが協力して殺人事件を解決していく。
主人公のベイリ刑事は決して名探偵というわけでなく、2回も推理を間違いながらも、最後は真相に辿り着く。
ミステリ、というより、主人公と一緒にハラハラドキドキしながら読むものなのではないか、と思ったり。


しかし、古いSF作品というのは、やっぱり読んでいて何度も苦笑してしまう。
SFの限界といえば限界なのかもしれない。
サスペンスとしては面白いけど、SFとしてはあんまり楽しめなかった。
なんというか、未来社会っていうのはどうしてこういつもこんなにも危なげなのだろうか。
なんで科学技術が発展した末に、そんな不安定な社会が出来てしまうのか、と。
動く歩道の高速版みたいな奴はどう考えても危険なものにしか思えないし、浴場が全て共同化されているのもいまいちよく理解できない。シティの発想*1は理解できるけど)。
あとは、技術の発展にムラがあるような感じもする。
もちろんそういうことは全部、後発世代だから言えることで、当時からすればすごいリアリティのある設定だったのだろうけど。
物理学っぽい雰囲気が非常に強いあたりに、そういうことを感じる
今のSFはむしろ、情報技術や生物学っぽい雰囲気だと思う。


気になったのは「宇宙人」
半分過ぎるまで意味がよく分からなかった。
地球以外の惑星に入植した元地球人のことなんだろうが、最初完全なエイリアンを想像していたので、話が掴みにくかった。


悪いとこばっかり言っているような気がするけど、話はとても面白かった。
読んでいて止まらなくなる、ので、かなり一気に読んだ。

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

*1:過密な都市を作って郊外は農園にしてしまう