マンガ評論界を揺るがした、ひどい受賞

blogで時事ネタを取り上げるタイミングとしては、遅いのだけど、一応取り上げておくことにする。
宮本大人のミヤモメモ夏目房之介の「で?」9月11日に生まれて(永山薫のblog)紙屋研究所ハナログ漫棚通信AYS
その他様々なblogやサイトで、2,3日前から取り上げられているのが
竹内一郎手塚治虫=ストーリーマンガの起源』がサントリー学芸賞を受賞したことです。
僕自身はこの本は読んでいないので、批判する資格はないかもしれませんが、しかし上の記事などを読めば何だかひどいことが起こっていることが分かると思います。
この本が出版されたとき、僕はたまたまこの本の広告をとある漫画雑誌の中で見ました。
確かに僕はこの本を読んでいないわけですが、広告を見ただけで唖然としたのは記憶に残っています。
何しろタイトルからして『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』であり、さらに帯には「『人は見た目が9割』の著者による日本初の本格的漫画評論」とあるわけですから。
後日、本屋で参考文献一覧だけ確認しに行ったのですが、夏目房之介大塚英志伊藤剛などの名前は見あたりませんでした。
まず、手塚治虫はストーリーマンガの起源ではないし、本格的漫画評論はこの本以前にもあった(僕は漫画評論というのはほとんど読んでいないのですが、それでも『手塚治虫はどこにいる』を読んだだけで、そんなことはすぐに分かる)。
審査員の三浦雅士は確かにもう『ユリイカ』の編集長ではないけど、『ユリイカ』では06年1月号でマンガ批評の最前線という特集を組んで、夏目、伊藤、宮本の鼎談を載せたりしているわけで。編集長やめちゃうとちらりとも見ないんだなあ、とか思ったり。
あと、どうも、色々この本の感想などを読んだところによると、この本は、マンガの国策化を目指しているみたいですね。
歌舞伎や墨絵や鳥獣戯画と現代のマンガをあっさりと繋いでみせて、そういうことを言っているらしいです。
アニメーターの労働条件改善とか、漫画家と出版社の権利関係等の上下(?)関係の見直しとか、ならば、あるいは国策にする価値もあるかもしれませんけど。
マンガ文化と日本の伝統文化というのを繋いだりして、いわば海外への売り込みを目当てにした国策化というのには、全くもって同意できません。
そういえば、麻生太郎が何かマンガ・アニメ大使だったかいうのを作ろうとしているんでしたっけ?