カント『永遠平和のために』

一応読んだから、記念エントリみたいなもんです。
ほぼ徹夜明けで、しかも機上で読んだので、眠くてたまらず、ほとんど内容が頭に入ってません。
カント用語(なのか近代哲学用語なのか)に辟易してしまったってこともあります(まあ眠かったせいですが)。
一応感想としては。
カントってのはリベラルだなぁ(ここでいうリベラルというのは、ある種の理想像を実現することを政治の責務と考える、っていう感じのことをさします)。
でも、意外と理想主義一辺倒ってわけではないのだなぁ。
1点目は従来のカント像とそれほどブレませんが、2点目はちょっと意外な感じでした。
カントっていうと、「それいくらなんでも無理っ」っていう理想を、「でもホントはこういうのがいいんだろっ」ってツンとすました顔で出してくるってイメージがあるんですが(なんだそりゃ)。
この本自体が、「永遠平和なんて無理」って言っている人たちに、永遠平和には現実性があるんだ、ということを説くために書かれたらしいので、コンセプトからして理想主義一辺倒ではよくないんですね。じゃあ、この本の内容は現実的かというと、今から見ればそれでもやはり非現実的なきらいはあるのですが、でも結構現実的な議論だったように思えます。
例えば、カントは共和制を理想的な政体と考えますが、共和制ではない集団を無理に共和制にするべきではない、と考えている。つまり、それぞれの集団によって踏むべき段階があって、その段階に達してない場合は強制すべきではない、と。許容の法則、とか呼んでました。
永遠平和のためには、どうすればいいか、というと、個人が自然状態から市民状態へと移行したように、国家も移行すればいい、というのがまずあります。
しかし、個人が国家となったように、国家がさらなる超国家のもと統一することはありえない、とカントは考えて、連盟という形を考案するわけです。消極的な策なんですが、そっちの方が現実的と判断しているようです。
あと、哲学者(理論家)と政治家(実践家)を区別しようとするんですね、彼は。こういう態度、僕はとても好きです。哲人政治とか知行合一って絶対にありえない、と僕は思っているので(^^;
あと、付録として道徳と法の関係についての考察も載っています。
ちょっと、道徳を理想、法を現実と言い換えてみますと、カントの主張は簡単で、現実にあわせて理想を曲げてはならない。理想のために現実を変えろ、というものです。
だから、道徳的政治家は考えるけど、政治的道徳家は考えられない。そして、政治家は道徳的政治家であるのが望ましい、と。
それから、それに続いて面白かったのが、公表と法の関係です。
ある格率が適正かどうかは、公表できるかどうか、にかかっているというもの。
例えば「あの国は悪い国だから先制攻撃しよう」という格率があったとして、しかしこれを事前に公表してしまうと、この先制攻撃は失敗してしまいます。公表することによって失敗してしまうような格率はおかしい、と言っているわけです。

永遠平和のために (岩波文庫)

永遠平和のために (岩波文庫)