システム論から見た芸術

「芸術システム」
慶應SFCが配信している、井庭崇の授業「現代と社会システム」の第10回
ルーマンの「システム論」から、芸術を「芸術システム」として捉える。
以下、ざっと要約。
芸術システムとは、芸術作品を生産し受容している過程のこと。
もう一点、この授業は「コミュニケーションの連鎖」ということを中心においており、ここでは、芸術作品とはコミュニケーションを連鎖させるもの、として捉えられている。
芸術は、鑑賞の仕方というプログラムが作品の中に書かれている。つまり、芸術全てにあてはまる鑑賞の仕方はなく、それは個々の作品によって違う。そして、その仕方を作品から読み取れることが出来れば、その作品は成功した、ということになる。
芸術とは「驚き(新奇性)を生産すること」である。
既存の作品とは異なるものであること。
また、その驚きは作者自身にも向けられる。製作過程において、作品に驚かされ、それへの返答によって作品が創り出されていく。
さて、ここでは芸術を芸術システムとして捉えるわけだが、システムがダイナミックに安定を維持するには、絶えず新しい作品が生み出されなければならない。つまり、システムにとっては動き続ける状態(コミュニケーションが続く状態)が安定なので、新しい作品が生まれ続けなければならないのである。
もう一点、芸術にとって重要なのは「スタイル」である。
スタイルというのは、例えばゴシックとかバロックとか、あるいはロックとかR&Bとか、そういうもの。
スタイルがあることは、スタイルの中で作品を創ったり、またはスタイルから逸脱する作品を創ったり、というように芸術の創造にとって役に立つ。

追記(070614)

『現代アートの哲学』西村清和を読んで「芸術システム」と「アートワールド」という概念は似ている、あるいはほぼ同じもののような気がする。