生物学

ゲアリー・マーカス『心を生み出す遺伝子』

氏か育ちか対立に対して、どっちもだよということを言っている話。 基本的な話は、まあ遺伝子のことをある程度知っていれば知っていることが多いかな、という感じ。 そんな中で、へえと思ったことは 遺伝子は思った以上にリアルタイムに機能していること。生…

三中信宏『分類思考の世界』

生物学哲学の大問題である「種」を巡って、その博覧強記をもって様々なエピソードから描き出した一冊。 というわけで、これは紛うことなき科学哲学の本であり、実際著者も何度も形而上学という言葉を使っているのだけど、哲学という言葉を聞いてこういったも…

内井惣七『ダーウィンの思想』

ダーウィンが如何にして進化論を考えるに至ったのか、ということがまとめられている。 進化論そのものの解説としてもコンパクトにまとまっているけれど、それが実際にダーウィンがどのように考えていったのかがわかる。 まずはビーグル号の話と、地質学者ラ…

5月後半に読んだ本・雑誌(現代思想ダーウィン・福永信「コップとコッペパンとペン」・オースター『最後の物たちの国で』・Xamoschi・ヴォネガット『猫のゆりかご』・西田幾多郎『善の研究』)

現代思想ダーウィン 「鳥のさえずり行動と四つの質問」岡ノ谷一夫他 「ArtHistoryとNaturalHistory」田中純 思ったほど面白くなかった 「「エボデボ革命」はどの程度革命的なのか」戸田山和久 勉強になった。発生から見る遺伝子。(環境とかによって変わる非…

今日立ち読みした雑誌(『日経サイエンス(三中インタビュー)』『Newton(マルチバース)』『ユリイカ(諸星大二郎特集)』『RATIO05(戸田山・伊勢田往復書簡)』)

立ち読みしつつtwitterしてたのを抜粋。 今月の日経サイエンス。茂木インタビューの相手は、三中信宏。新書に載ってた顔写真と顔が違うw(多分髭) 系統樹コレクションの話、「種」概念の話、ダーウィンの話をしてる 種の話は、分類学はもっと認知心理学とか…

河田雅圭『はじめての進化論』

タイトルに違わず、初心者のための進化論入門といってうってつきの一冊。 具体例と適度な単純化(?)と平易な語り口で非常に分かりやすく、また誤解されそうなところへの注意が行き届いている感じがした。 今までいくつか進化についての入門書的なものは読…

木村資生『生物進化を考える』

中立説を提唱した、木村資生による、進化論の入門書。88年に書かれた本なので、データ的には古いのかもしれない(例えば、このことは今後の研究を待ちたいという記述が何カ所かある。これは今ではもう立証されていたりするのだろうか)。 進化論とか遺伝と…

『ドーキンスvsグールド』キム・ステルレニー

薄いのだけれど、とても密度の濃い、科学啓蒙書。 これまた作者は哲学者。 『自由は進化する』について書いたときも書いたけれど*1、現在の哲学者の仕事というのは、何らかの思索というよりは、様々な科学の学説の整理という面が強くなってきているように思…

中村桂子『生命科学』

1975年に書かれた、中村桂子による生命科学マニフェスト。 現在の中村は生命誌という言い方をするが、基本的な考え方はおそらく変わっていないのだと思われる。 マニフェストと述べたが、まさにこれは宣言書といった雰囲気が強い。 従来の生物学ではなく…

三中信宏『系統樹思考の世界』

久しぶりに新書を買って読んだ気がする。 06年の本で、既にある程度話題の本になっていたっぽいが、なかなかいいタイミングで読むことができたなあと思った。 著者は、進化生物学を専門にしている*1ので、この本はまずは進化論の本といえる。 だが、いわゆ…

『マシンの園』

読もうと思ったのは、訳者が佐倉統だったからなんですが 作者はクラウス・エメッカというデンマーク人なんですが、訳者あとがきで、デンマークというとセイレン・キェルケゴールやニールス・ボーアなど哲学が好きな人が多いんじゃないか、と書いてあって、そ…

ユクスキュル『生物から見た世界』

ユクスキュルの著した、環世界論についての一般向け啓蒙書 「環世界」とは、客観的なものである「環境」から各生物が切り取った、主観的なものである。あらゆる生物はみな、それぞれが別々の環世界に住んでいることを、様々な具体例を示して教えてくれる。 …