日本現代文学
『新潮6月号』 磯崎憲一郎「終の住処」 磯崎作品のテーマはこれだっとかズバッと言いにくいのが磯崎作品の特徴だけれども、それでもやっぱり磯崎作品は大体どれも「時間」というのが通底していると思う。 この作品でも時間そのものを感じさせるような描写が…
諏訪哲史「ロンバルディア遠景」 今までの諏訪とはタッチが違うが、しかしやはり諏訪だなあという感じの作品。 マイナーな詩の雑誌の編集者である井崎が語り手となり、若い詩人であるアツシの作品やイタリア旅行が紹介される。 主人公の二人ともが、詩に関わ…
ユ-ビック (ハヤカワ文庫 SF 314)作者:フィリップ・K・ディック早川書房Amazonどこから現実でどこまで夢なのか、というディック的テーマを扱っているけれども、 それよりも、1930年代へのタイムスリップ*1ものとして面白かった。ごく普通のエンタメとし…
http://www.dax.tv/で公開されていたので貼っておく。 2008.12.13に広島横川シネマで行われた、音楽と文学の融合!向井秀徳×古川日出男「Asobi」 http://www.dax.tv/?item=2478 向井秀徳×古川日出男「ベルカ、吠えないのか?」 http://www.dax.tv/?item=2477…
『文学界2月号』 青山真治・平出隆・平野啓一郎座談会 ソウルで開かれた東アジア文学フォーラムに参加した3人の座談会。 3人とも出身が北九州なので、北九州の話や韓国の話など。 フォーラムでは、莫言が書をすらすらと書いてかっこよかったけど、開催地が韓…
東北に隠された「記憶」を担う狗塚きょうだいとその歴史を浮かび上がらせる、「最大最長最高傑作二千枚」。 これはもう明らかに、『ベルカ、吠えないの?』以来の大傑作。この長さや分厚さをものともせずに読み進めることのできる面白さ。 もうどこからどう…
一気に読み進む620枚! 怒濤のように物語が展開していく620枚! この作品は、色々なところで今までの佐藤友哉作品とは異なっており、佐藤友哉の新境地ということができるかもしれない。 しかし、色々なところで今までの佐藤友哉作品との繋がりが、当然…
『文學界』1月号 吉田修一が新連載。文芸誌では初らしい。 しかしそれは読まずに、東浩紀「なんとなく、考える」 エッセイを書くという宣言通り、エッセイ的なものを書いている。 南房総に家族にドライブしにいった時の話と、今度テレビで母校訪問をすると…
『新潮12月号』 舞城王太郎「すっとこどっこいしょ。」 私立の中高一貫校に通う男子の、中学の修学旅行から高校までの、恋愛と友情を描いた作品。 なにこれ、舞城作品の紹介じゃないみたいだw うーん、いやほんと、さらさらっと読めるし、まあまあ面白い…
楊逸が芥川賞をとったとか。 あ、あと、『論座』休刊とかが、今日の文壇・論壇関係ニュースか。 『新潮8月号』 間宮緑「実験動物」 ワセブンのを読もうと思っていて結局読んでないや。 面白いような、つまらないような。 「私」と「吸血博士」の共同生活っ…
昨日書いた記事が、深夜にアップしたために日付をまたいでいて、今日の記事と同じ日付になってしまった。 『群像』 絲山秋子「ラジ&ピース」 この人の作品を読むのはまだこれで2度目だけれど、じんわりと面白い。 主人公は、ラジオパーソナリティの女性。…
岡田利規「楽観的な方のケース」(小説)、「フリータイム」(戯曲) これが、超口語って奴か。 前者は、主人公の女性とその同棲相手の生活とあるパン屋の関係について。 後者は、あるファミレスに集う、バイトとOLと若い男性2人組の諸々。 どちらも、描か…
『群像6月号』 武田将明「囲われない批評――東浩紀と中原昌也」 群像新人文学賞評論部門 これは面白い 言説と現実はいかにして関係することができるのか。批評は果たして成立するのか。 批評(や純文学)の言説空間に閉じこもってしまわないような、(言説内…
面白い! しかし、よくわからない! この作品は、何やらよくわからないが、すごい 『SelfReference-ENGINE』と『ジャン=ジャックの自意識の場合』の両者は、どちらも2007年にSF界に現れたわけだが、ある種のシンクロニシティがあるような気がする。 …
タイトルが『わたしは真悟』だということを、グーグル先生から教えてもらった。そういえば、『わたしは真悟』は読んでいなかったんだ。 ある日、東京タワーの頂上で殺人事件が起きる。 東京タワーの土産物屋でバイトするフリーターの土江田、そして探偵や女…
『群像5月号』 円城塔「烏有此譚」 円城作品って、デビュー作の「オブ・ザ・ベースボール」が一番読みやすく分かりやすく、そして後の作品になればなるほど、分かりにくくなっていっている気がする。 この話はお手上げ。 前半と後半の大きく二つに分けられ…
奥付にある著者略歴の欄にこうある。 本書は(中略)前作『ベルカ、吠えないのか』に対する猫的アンサーである。 目黒を中心とした、東京都のある範囲*1を舞台に、20人の男女と4匹の野良猫を描いた物語。 『ベルカ』が、全地球を舞台に50年の時間軸で物…
『さらば愛しき女よ』 うちの大学の先生*1が、飲み会の席でレイモンド・チャンドラーを非常に熱く語っていた。 最近になって読み始めたらしいが、日本語版も英語版も全部読むくらい、はまったらしい。 とにかくこんなに素晴らしい作家はいないという感じで言…
1998年から2007年にかけてデビューした133人の作家ファイル、ということで、思わず購入してしまった。 こういうガイド本を持っていればなんとかなるんじゃないか、と思ってしまうたちなわけです(^^; しかし、133人というのはなかなかすご…
まず、フォントがかっこいいなーと思ったのだけど、単に最近、単行本で小説を読んでないから、そう思ったのだと思う。 少しずつ違う設定で、3つの話が書かれている。それぞれ次の話と何となく繋がっていて、もしかすると、ループしている。 リアリズムを揺…
今日の夕方頃、大学の図書館にある文芸4誌を独占していたのは私です。 そういえば、同じ授業とっている先輩が、群像を読んでいたけど何を読んでいたんだろうなあ。 『すばる』 本谷有希子インタビュー 写真が何枚か載っていたのだけど、なんか印象が違う。…
書店の棚にだだんと文藝春秋が積まれているのはいつものことだが、さらにでかでかと川上未映子のポスターが貼ってあって目をひく。 実は、芥川賞・直木賞の際のテレビ報道を直接見ていないのだが、彼女がとにかく映されていたというようなことは聞いた。歌手…
どちらも第44回文藝賞受賞作 とにかく『肝心の子供』の評判がよいので、読もう読もうと思っているうちに、『文藝』の次の号が出ちゃったりしたけれど、ようやく読めた。ああ、今号の『文藝』にはもうそれぞれの作者の対談が載ってるんだな、これもあとで読…
短編集。 今まで保坂は、『カンバセイション・ピース』しか読んだことがないけれど、いきなり短編集を読むよりも、長編を一本読んでから短編読むといいな、と思う。ただ、一回長編を読むと、長編よりは短編をぱらぱら読みたいな、と思う。 読み始めたときに…
混ざり合う感じ、溶け合ってしまう感じ。 現在と過去が、現実と想像が、自分と相手が、一人称と三人称が、自然と機械が、アメリカ大陸と日本が もちろんそれは決して溶けて一緒になってしまうことはない。 だが、この小説の文章を読んでいると、それらがあた…
「最後の吐息」と「紅茶時代」収録 マジックリアリズムというのかどうかはよく知らないが、不思議な感じのする作品だった。 イメージ豊かというか、濃厚な比喩表現があったり、触覚や味覚に訴えかけてくるような描写があったりする。どちらの作品もメキシコ…
今日は図書館でずっと雑誌を読んでました。 1月号だからなのか、何か沢山読むところがあったような。 読んだもの一覧 『すばる』 「誰も映っていない」中原昌也 「カブを抜く」円城塔 特集「ナゴヤ文学革命」「名作リッパケージ現象」 『文學界』 「ケータ…
二匹 鹿島田のデビュー作 彼女の作品は既に二作読んでいるのだが*1、それらとはまたちょっと違った感触のする作品。 僕が読んだその二作品は、観念的というか抽象度が高い(例えば固有名詞が出てこないとか)のだけど、こちらは具体的な男子高校生の生活を描…
歴史とは物語であり、物語とは歴史である。 この小説には、1943年から199X年までの歴史=物語が書かれている。 偽史ないし架空史を描いた小説は数多くあるだろうけれど、これはそうした作品を圧倒するだろう。 何故か。これが犬の歴史=物語だからだ…
あとがき(?)に「速さこそがモラル」とあるが、とにかくあっという間に読めた。 実際、頁数もそれほどあるわけではないが、文章が速い。 パラパラっと見てみるとわかるが、わりと紙面が空いている。描写が少ない。そう、描写が少ない。 モノローグが多い。…