文化論

レフ・マノヴィッチ『ニューメディアの言語』

ニューメディアとは、CG合成の映画やコンピュータゲーム、web、メディアアートなど、コンピュータを使ったメディア(作品)の総称で、そうしたものについての美学理論入門*1 ニューメディアと(オールドメディアである)映画との連続性を検討している感じの…

ハル・フォスター編『視覚論』

視覚文化をめぐるシンポジウムのための論文と討議を集めた本 マーティン・ジェイ「近代性における複数の「視の制度」」 「視の制度」という言葉は、クリスチャン・メッツ由来 近代における主要な3つの制度 デカルト的遠近法主義 イタリア・ルネサンスにおけ…

海野弘『魔女の世界史』

近現代の「魔女」文化を巡る本。具体的には、世紀末美術、新魔女運動(ネオペイガンなど)、ゴスの3つにスポットライトがあてられる。 帯やカラー口絵を見ると、まどマギ、きゃりーぱみゅぱみゅが取り上げられていて、現代のサブカルチャーについて論じてい…

石岡良治『視覚文化「超」講義』

「アート/エンタメ」あるいは「サブカル/オタク」という軸を取っ払って、現代(視覚)文化について取りかかる切り口を講義する本。 このあたりは、Loading...でも、以下のように紹介されていて、読んでいてその通りだなと思った。 長々と歴史が語れられて…

金森修『ゴーレムの生命論』

ゴーレム伝説、そして「ゴーレム的なもの」が描かれた文学作品などを概観し、「ゴーレム的なもの」とは一体何か、そして「人間圏」の境界について考える。 人間以下の人間として「ゴーレム」は捉えられるが、この後、人間圏の境界ないし人間以下の生物につい…

竹中夏海『IDOL DANCE!!!』

サブタイトルは、「歌って踊るカワイイ女の子がいる限り、世界は楽しい」 全くもって正しいですね。世界の真理だ。 ぱすぽ☆、アップアップガールズ(仮)の振付師である竹中が、ダンスという視点からアイドルを語る本。 そもそもアイドルダンスというジャン…

さやわか『僕たちのゲーム史』

遅ればせながら、各所で絶讃されてるこの本を読んだ。 日本のテレビゲーム*1の歴史を、「ゲームとはボタンを押したら反応するものである」「ゲームは物語をどう扱うかについて時を追うごとに変化した」という二つのテーゼを軸に、語る本。 何で日本と海外で…

渡邉大輔『イメージの進行形』

現代の映像文化を「映像圏」という独自の用語で呼びながら、一方ではtwitterなど映像以外の現代文化とも接続し、またその一方では現代にとどまらない映画史とも接続させながら論じていく本。 元々、早稲田文学のweb版で連載がなされていて、僕もそれを読んで…

『ボカロクリティーク』vol.6&vol.7

今まで書いた奴 『ボカロクリティークvol.01』 - logical cypher scape 『ボカロクリティークvol.02』 - logical cypher scape 第14回感想その2 - logical cypher scape(vol.3) 『ボカロクリティークvol.04』 - logical cypher scape 第15回文フリ感想 - …

井手口彰典『同人音楽とその周辺』

ほとんどそのタイトル通り、同人音楽についての研究の本。 自分は、同人音楽といってもニコ動やネットレーベルで触れているだけなので、普通に勉強 音楽学系の本もほぼ読んだことないのでそういう意味でも。 第1章 同人音楽への招待 そもそも同人音楽とは一…

『ボカロクリティークvol.04』

これまでの感想はこちら 『ボカロクリティークvol.01』 - logical cypher scape 『ボカロクリティークvol.02』 - logical cypher scape 第14回感想その2 - logical cypher scape 今回の表紙は、これはIAさんですか VOCALOID3って全然知らないんだよなーいか…

ケイティ・サレン/エリック・ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ(上)』山本貴光訳

ゲームデザインについての理論書。 この本は、まず第一には、ゲーム制作者向けの指南書であるが、ほどよく抽象的・理論的に書かれており、ゲームについて考えたり批評したりという人にも使えるようになっている。 ゲーム制作もゲーム批評もしないよって人に…

『ボカロクリティークvol.02』

『ボカロクリティークvol.01』 - logical cypher scapeの第二号 発起人の島袋八起さんからご恵投いただきました。どうもありがとうございます。 今回は、GUMIさんのおっぱいが表紙です 今回もやっぱり作品論がねえっていうのが、物足りないポイントでした。 …

北野圭介『映像論序説――デジタル/アナログを越えて』

映像を巡る言説を、アナログとデジタルの区別について吟味する形でまとめたもの。 冒頭で、方法論として概念分析と系譜学的考証というのを挙げている通り、映像という言葉がどのように使われてきたのかというのを追いかけている。 アナログ映像とデジタル映…

東浩紀『サイバースペースは何故そう呼ばれるか+』

「サイバースペースは何故そう呼ばれるか」を河出文庫版で再読。 それから、収録されている論考「精神分析の世紀、情報機械の世紀」「想像界と動物的通路」「スーパーフラットで思弁する」を読んだ。「精神分析の〜」は再読、残り2つは初めて読んだ。対話の…

『背景から考える――聖地・郊外・ミクスドリアリティ』

『アニメルカ』に何回かにわけて掲載されてきた、みよじ・はるを・よしたか、tricken、反=アニメ批評による座談会を一冊にまとめたもの。 さらに、『マイマイ新子と千年の魔法』の監督と、『けいおん』の高校のモデルとなった豊郷小学校がある豊郷町産業振…

大和田俊之『アメリカ音楽史』

僕の周辺で覇権*1とまで呼ばれていた本をようやく読んだ。 その名の通り、アメリカ音楽の歴史の本であるが、いわゆる大文字のHistoryを解体し、様々な伏線を通してhistoriesを見出していくタイプの研究。自分が大学の時に受けていた授業には、これと似たよう…

『ボカロクリティークvol.01』

島袋八起(発起人)と中村屋与太郎(編集長)による、ボカロ評論同人誌創刊号。 ちなみに、八起さんはこの前の文フリの時に突発的に、この本のパイロット版にあたる『ボカロクリティークvol.00』*1を作っており*2、僕はその際に寄稿したという縁があるが、今…

『早稲田文学増刊U30』

まだ小説は読んでないけど、評論は読んだ。 福嶋亮大「現代中国文化に見るネットワーク効果」 まあ大体タイトルどおりの感じの話 伊藤亜紗「「露出」する登場人物たち」 非常に面白かった。「カギ括弧論」もそうだけど、伊藤さんって派手さはないけど面白い…

岡田暁生『音楽の聴き方』

稲葉振一郎が『社会学入門』で薦めていた本だと思って*1、なんとなく冒頭を立ち読みしたらそのままはまってしまって一気に読んでしまった。 twitterから 昨日思わず買った、岡田暁生『音楽の聴き方』中公新書が、刺激的だった。クラシック音楽を題材にしてい…

あんまりちゃんと感想メモ書けてなかったけど、読んだ本の記録2

清塚邦彦『フィクションの哲学』 色々な意味で勉強になった。 何というか、文章の書き方レベルから。 想像って結局何なの、とか、西村清和から来るであろう反論をどうかわすの、とかが気になった。 あと、やはりウォルトンは面白そうだなあとか。 虚構記号と…

小田切博『キャラクターとは何か』

「キャラクター文化」を巡る様々な(国際的、国内的な、主にビジネスにまつわる)状況を概観させてくれるハンドブック。 であるが、それを前提にしつつ、第三章のキャラクター論が非常に面白い! ディケンズの挿絵からアメリカの戦前出版文化あたりに、キャ…

大塚英志『アトムの命題』

大塚読むの久しぶり 大塚なのでやっぱり政治的に読むように言ってくるのだけど、漫画史研究としてちゃんと読める。ちゃんとって何だw いや、でも大塚的な皮肉とかはほとんどなかったかもな。 っていうか、宮本大人や伊藤剛の研究との連続性もすごくあるし。…

『社会は存在しない』限界小説研究会編

サブタイトルに「セカイ系文化論」とある通り、セカイ系評論集となっている。 「何を今更セカイ系なんて」と思う向きにも、ちょっと立ち止まってもらいたい。 これは、セカイ系と称されてきた作品について論じる、というわけではなく、セカイ系という概念が…

泉信行『漫画をめくる冒険』下巻

これまた、非常に面白く、また色々と示唆に富む本。 とりわけ、下巻の序で言われている「詠む」という概念の提起は素晴らしいと思った。これは自分のフィクション論にも適用していくことができそうだ。 非常に細かい、技術的な話を論じているようにも思える…

速水健朗『ケータイ小説的』

サブタイトルは「再ヤンキー化時代の少女たち」で、郊外に住む、ヤンキーの少女文化について論じられている。 これは、東京に住む、オタクで少年の文化との対比でもある。 ところで、ヤンキーとは一体何を指しているのか。 斎藤環は『文学の断層』の中で、日…

加藤幹郎『映画館と観客の文化史』

映画は一体どのようにして見られてきたのか、ということについての歴史的変遷を追った本。 映画を見る、と一言で言っても、それには様々な様態がある。シネマ・コンプレックスで見るのか、DVDを借りてきてホームシアターで見るのか、ネットで落としてきてPC…

『ユリイカ6月号』特集「マンガ批評の新展開」

鼎談「マンガにおける視点と主体をめぐって」 夏目房之介、宮本大人、泉信行による鼎談。 『漫画をめくる冒険』の解説といった感じ。 タイトル通りマンガにおける視点と主体についての話だが、『漫画をめくる冒険』という本そのものの語り手は一体誰か、とい…

タイプとトークンから考えるデータベースと同一性

タイプとトークンというのは、ちょっと僕自身も正確に把握しているのかどうか怪しいところがあるのだが、例えば音楽に喩えるならば、楽譜と演奏のような関係にある。 あるいは、ここに「あ」という文字がある。その時、これが明朝体であろうとゴシック体であ…

「春の文学フリマ」感想1

『漫画をめくる冒険・上巻』イズミノウユキ これは、素晴らしく面白いマンガ批評となっている。 マンガをいかに精読するか、という一つの方法論を提示してくれると同時に、そのように精読することによって、読みそのものが変化する、という批評のダイナミズ…