2024-01-01から1年間の記事一覧

「ビートを感じる脳」(『日経サイエンス2024年11月号』)

音楽を聴いて踊りたくなるのはどういう時か。 シンコペーションの程度を変えて実験したという研究 シンコペーションの程度が大きいと、次のリズムが予測しにくくなる。 中程度の時、一番踊りたくなることがわかった つまり、リズムが単調で予想がたやすい場…

小林快次「恐竜学入門」(カルチャーラジオ科学と人間)

NHKラジオでなんかやっていたので聞いていた。 特にメモ等はとっていないので、単に聞いたという記録だけなのだが。 全13回シリーズ どこかで公開収録したものっぽい。小学生たちが聞きにきていたようで、彼らの声が時々聞こえるし、小林先生も明らかに(ラ…

清塚邦彦『絵画の哲学』

タイトルは「絵画の哲学」だが、いわゆる描写の哲学philosphy of depictionについての入門書である。 ここでいう描写の哲学は、主に英語圏で展開されている動向で、この分野の古典であるグッドマン『芸術の言語』、ウォルハイム『芸術とその対象』の初版がと…

グレッグ・ベア『鏖戦/凍月』

中編小説2編を収録したもの 内容的に何か関連しているのかなと思ったら、それぞれ完全に独立した内容だった。 「鏖戦」は1982年の作品で、酒井昭伸訳 「凍月」は1990年の作品で、小野田和子訳。こちらは中編といっても長めの作品(あるいは短めの長編)で、…

篠田謙一『人類の起源』

サブタイトルに「古代DNAが語るホモ・サピエンスの「大いなる旅」」とある通り、古代DNA研究をまとめた本となる(その意味では「人類の起源」の話ではなく「人類の拡散」の話といった方が正確か)。 類書としてデイヴィッド・ライク『交雑する人類』(日向や…

アルカジイ&ボリス・ストルガツキー『ストーカー』

ゾーンから人類以外のテクノロジーの産物をかすめ取ってくるストーカーたちと、ゾーンの周囲で暮らす人々の物語 かなり前から気になっていってずっと積んでいたのだが、フレッド・シャーメン『宇宙開発の思想史』(ないとうふみこ訳) - logical cypher scap…

フレッド・シャーメン『宇宙開発の思想史』(ないとうふみこ訳)

サブタイトルは、「ロシア宇宙主義からイーロン・マスクまで」 原著タイトルは”Space Forces: A Critical History of Life in Outer Space” 筆者のシャーメンは、建築と都市デザインを専門としている 7つの章に分かれていて、第1章がツィオルコフスキー、…

ジョナサン・ストラーン編『シリコンバレーのドローン海賊 人新世SF傑作選』

毎度お馴染みジョナサン・ストラーン編アンソロジーって書くつもりだったんだけど、調べてみたら、邦訳されているのも実際に読んだのものまだ2冊目っぽくて、お馴染みという程冊数なかった。 以前はジョナサン・ストラーン編『創られた心 AIロボットSF傑作選…

日本SF作家クラブ編『地球へのSF』

日本SF作家クラブによるアンソロジー第4弾 第1弾から第3弾は読んでない。なんかテーマ設定とかにそこまでピンとくるものがなくて……。 今回も地球SFという、ちょっととりとめもない感じのないテーマではあるのだけど、面子が気になったので手に取ってみたら、…

松永K三蔵「バリ山行」(『文芸春秋』2024年9月号)

去年に引き続き、実家に帰ったら置いてあったので読んだ(『文藝春秋2023年9月号』(市川沙央「ハンチバック」ほか) - logical cypher scape2) 今回、読んだという記録のみ文藝春秋2024年9月号[雑誌]作者:藤原正彦,塩野七生,保阪正康,佐藤優,清武英利,内館…

佐藤亜紀『ミノタウロス』(再読)

ウクライナ戦争起きた頃くらいから、ウクライナといえばそういえば『ミノタウロス』だなあ、再読しようかなあ、とか思っていたのだが、いつものことで、そう思ってから数年たってしまった。いや、ウクライナ戦争始まってもうそんな経つのかよ 現在起きている…

ラヴィ・ティドハー『ロボットの夢の都市』

人類が太陽系全体に植民し、ロボット兵器を投入した世界大戦が何度か起きた後の時代、アラビア半島の都市ネオムを舞台に、慎ましやかに生活する人々のもとに、かつての兵器ロボットが現れる。 ティドハーについては、以前ラヴィ・ディドハー『完璧な夏の日』…

『乾と巽』

最終巻が出ていて読み終わった。 安彦良和がシベリア出兵を描いたマンガ作品 安彦作品はあまり読んでいないのだけど、10年ちょっと前くらいに『虹色のトロツキー』を読んだことがある(当時のツイートをサルベージしたので、下の方に置いておく)。 これがと…

「自然科学の哲学」ほか(飯田隆編『哲学の歴史11 論理・数学・言語―20世紀2』)

主に分析哲学史についての巻だが、分析哲学以外の章と、あとコラムをいくつか読んだ。 総論 科学の世紀と哲学 飯田隆 自然科学の哲学 ドイツ語圏における展開 今井道夫 フランスにおける展開 小林道夫 フレーゲ 金子洋之 ラッセル 戸田山和久 コラム1 「概…

長尾天『もっと知りたいデ・キリコ』

最近ちらほら読むようになった「もっと知りたい」シリーズ 筆者の長尾天については、以前長尾天『イヴ・タンギー―アーチの増殖』 - logical cypher scape2を読んだことがあったが、その後、キリコについても著作を出していたようだ。今、上の記事を確認した…

デ・キリコ展

都美術館にて。 キリコというとシュールレアリスムの先駆け的存在であり、昨年あった「パリポンピドゥセンター キュビスム展 美の革命」 - logical cypher scape2とあわせれば、20世紀美術の二大潮流が押さえられるのでは、と思ったりして、見に行こうと思っ…

世紀転換期・戦間期読書まとめ

昨年末に以下のようなことを書いた。 『軍靴のバルツァー』からの『リラと戦禍の風』、あるいはキュビスム展の流れで、第一次世界大戦前後が気になり始めている。 というか、もともと戦間期の文化史は興味があって、なので大正史も読んでて面白かったなあと…

フレデリック・ルイス・アレン『オンリー・イエスタデイ』(藤久ミネ・訳)

サブタイトルに「1920年代・アメリカ」とある通り、1920年代のアメリカを振り返った社会史。 執筆されたのは1931年で、まさについ昨日の出来事、として語られているのだが、歴史書としての距離感もありつつ、筆者のアレンは元は雑誌編集者なので、読み物…

野家啓一編『哲学の歴史10 危機の時代の哲学―20世紀1』

引き続き、中公の『哲学の歴史』 いわゆる大陸系哲学あるいは現象学の潮流に位置する人たちで、また、戦後の人たちも一部含むが、概ね20世紀前半から戦間期に活躍していた人たちが中心となっている巻 知っているようで知らない人たちで、「へえそういうこと…

「カッシーラー」「ヴェーバー」他(須藤訓任編『哲学の歴史9 反哲学と世紀末―19-20世紀』)

中公の『哲学の歴史』!! 本についての話をする前に個人的な話をするが、これは、自分が学生だった頃に発刊されたシリーズで、なんかすごいの出たなあと思っていた。その後も近くの図書館で見かけたりして*1「いつか読むぞ!」「いつ読むんだ?」というのを…

柏木博『デザインの20世紀』

20世紀のデザイン史について、19世紀後半のアーツ・アンド・クラフツ運動から戦後の消費社会まで辿る本 元々、マシン・エイジやアメリカのインダストリアル・デザインについての何かを読みたいと思って探していて見つけた本だった。もとより、タイトルや目次…

矢代梓『年表で読む二十世紀思想史』

1883年~1995年までの、欧米の哲学・思想・文学・芸術を編年体で綴った本。 「世紀転換期・戦間期について読む(哲学思想篇)*1」の一環として手に取った本なのだが、タイトルと目次(あとはAmazonの該当ページとか)だけ見て図書館で予約した本なので、実際…

桜井哲夫『戦争の世紀 第一次世界大戦と精神の危機』

第一次世界大戦がヨーロッパの若い世代の作家などに与えた精神的影響についての本 本の惹句としては「20世紀精神史の試み」とある。 どういうのであれば思想史で、どういうのであれば精神史なのか、自分にはよく分からないが、まあそういうジャンルの本で、…

ブログのカテゴリ改修(増設)について

カテゴリ改修の動機 自分のブログの一番の読者は自分であり、カテゴリは自分で自分の過去記事を探す時に使っている。 それでもう少し細かく分けておきたいなと思ったので、カテゴリを色々と新設することにした。 カテゴリを作るのは楽しいが、一方で、たくさ…

木田元『マッハとニーチェ―世紀転換期思想史』

タイトルは「マッハとニーチェ」だが、基本的にはマッハの思想とその影響について 『大航海』での連載をもとにした本。 「世紀転換期」という言葉知らなかったけど、使い勝手よさそう マッハについては、原子論をめぐってボルツマンと対立し、アインシュタイ…

リタ・タルマン『ヴァイマル共和国』(長谷川公昭・訳)

タイトルにある通りヴァイマル共和国についての本だが、林健太郎『ワイマル共和国』 - logical cypher scape2が政治史で1冊であったのに対して、同様の内容がこちらでは全6章のうち前半の3章くらいに圧縮されている。 後半では、政治思想、宗教、教育、学…

津久井五月「われらアルカディアにありき」「ラスト・サパー・アンド・ファースト・サマー」「川田さんの遺書」

SNSで相互フォローの方が、津久井作品についてポストしていて存在を知った短篇 kaguyaはともかく、fanboxやnoteはさすがに分からん 3作ともそれぞれ結構違う雰囲気の話 われらアルカディアにありき 「牛の王」と設定を共有しているらしい作品。なお、「牛の…

橋口稔『ブルームズベリー・グループ―ヴァネッサ、ヴァージニア姉妹とエリートたち』

ブルームズベリー・グループについては名前だけはなんとなく知っていたけれど、しかし、どういう人たちなのかよく知らなかったので。 20代の前半くらいに仲良くしていた友人グループで、30代過ぎてからみんなそれぞれの分野で有名になっていった、という感じ…

中屋敷均『遺伝子とは何か』

遺伝学の歴史から遺伝子概念の変遷を追っていく本 以前から積んでいた本で読むタイミングがなかなかなかったのだが、応用哲学会2024年大会 - logical cypher scape2で「無知を産む装置としてのパラダイム——遺伝暗号解読競争からの教訓——(石田知子)」を読ん…

河部壮一郎『デジタル時代の恐竜学』

CTスキャンやシミュレーションなどのデジタル技術を用いた古生物学研究について、筆者が実際に携わった研究をもとに紹介する本。 泉賢太郎『古生物学者と40億年』 - logical cypher scape2が、化石発掘だけが古生物学研究ではないということを論じる本であっ…