2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

大江健三郎『芽むしり仔撃ち』

大江健三郎が1958年、23歳の時に書いた、初の長編作品。 戦争末期、僻村に一時的に閉じ込められた少年たちによるスモールパラダイスの形成と崩壊を描く。 プロットがめちゃくちゃしっかりしているというか明快 以前、読んでいたので再読ということになるが、…

海外文学読むぞまとめ

2022年12月〜2023年3月 事の発端(?)は、文学読もうかという気持ち - logical cypher scape2を参照 これが2022年の9月頃で、12月頃から「海外文学読むぞ期間」と称して海外文学を読み始めた。 (9~11月は日本文学篇で、まとめは最近読んだ文学 - logical …

フリオ・コルタサル『奪われた家/天国の扉 動物寓話集』(寺尾隆吉・訳)

コルタサルのアルゼンチン時代に書かれた8篇からなる第一短編集。 海外文学読むぞ期間の一環として、フリオ・コルタサル『悪魔の涎・追い求める男他八篇』(木村榮一・訳) - logical cypher scape2に続いてコルタサル。 のちにパリに移住する作家だが、それ…

ニコルソン・ベイカー『中二階』(岸本佐知子・訳)

1980年代後半の20代半ばの会社員が、自らの生活のディテールをひたすら綴っている小説。 木原善彦『実験する小説たち』 - logical cypher scape2で紹介されており、海外文学読むぞ期間の一環として手に取った。 ウラジーミル・ナボコフ『青白い炎』(富士川…

ウラジーミル・ナボコフ『青白い炎』(富士川義之・訳)

老詩人の遺作となった詩「青白い炎」に、元隣人がつけた大量の注釈が、とある王国から革命の末亡命してきた元国王の物語になっているという作品。 著者のナボコフというのは『ロリータ』のナボコフである。というか、自分はナボコフについて『ロリータ』の作…

デイヴィッド・マークソン『ウィトゲンシュタインの愛人』(木原善彦・訳)

地上でただ1人の人間となってしまった主人公が、狂気すれすれの中でタイプした手記 今、狂気すれすれ、と書いたがそれはあまり適切な言い方ではないかもしれない。 その筆致自体は軽妙で、狂人のようでは全くない。 誰もいなくなった世界を孤独にさまよいな…

瀬名秀明『ポロック生命体』

AIをテーマに4篇収録した短編集 積ん読しているさいちゅうにいつの間にか文庫化されていた。 今まさに現実世界で話題になり続けている技術であるだけに、あっという間に古びてしまいかねないテーマではある。 ディープラーニング系のAIなどの発展が、人間の…