2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『論理学』グレアム・プリースト

岩波の1冊でわかるシリーズから『論理学』。 既に、「1冊でわからない」という声も挙がっているが*1、確かにこの本で、論理学について学ぶことは難しいと思う。 この本はどちらかというと、論理学の哲学についての本である*2。 最後の訳者解説にあってわか…

『中国動漫新人類』遠藤誉

中国における、日本動漫(マンガとアニメ)の受容のあり方について書かれた本。 というわけで、クールジャパン系の本かとも思うかもしれないが、さにあらず。 そもそもこの本の著者は、1941年生まれの女性物理学者で、日本のオタク文化とは全く縁のない…

『パラノイド・パーク』

ガス・ヴァン・サントの新作。 今までガウ・ヴァン・サントの作品は、『グッド・ウィル・ハンティング旅立ち』と『エレファント』しか見ていない*1のだが、今回、監督名だけで見に行くのを決めた。 つまり、どんな映画か内容は分からないけどガス・ヴァン・…

『SFマガジン6月号』『メフィスト5月号』

『SFマガジン6月号』 読もうと思って読まなかったもの クラーク追悼特集 クラークのエッセイと、追悼コメントだったので、とりあえずパス 来月はクラークの短編が載るらしいのでチェックしよう。 西島大介が、クラークがいなければ漫画家になっていなかっ…

佐藤友哉「333のテッペン」(『StorySeller』)

タイトルが『わたしは真悟』だということを、グーグル先生から教えてもらった。そういえば、『わたしは真悟』は読んでいなかったんだ。 ある日、東京タワーの頂上で殺人事件が起きる。 東京タワーの土産物屋でバイトするフリーターの土江田、そして探偵や女…

「知っている」とはどういうことか

この前、twitter上でこんなことを書いた。 sakstyle: 信念というのは、心とか頭のなかで思ったり考えたりしている事柄。日本語で信念というと、もっと強い意味が込められているけど、哲学界隈ではその程度の意味で使われている。 http://twitter.com/sakstyl…

『科学哲学』サミール・オカーシャ

岩波から出ている「1冊でわかる」シリーズの新刊。 「1冊でわかる」というタイトルに名前負けせず、科学哲学が一体どういう営みであるかということが、コンパクトにまとめられている。 過度に抽象的にならず、具体的な例が適宜用いられているし、また何故…

今日は見かけた色々なニュースをメモ

「名古屋高裁、空自のイラク派遣に違憲判断」 空自が、他の国の輸送に協力していたのは、イラク特措法違反であり、なおかつ憲法9条に違反するという判断を名古屋高裁が下した。 この訴訟は、自衛隊派遣の差し止め訴訟であり、高裁への控訴そのものは棄却さ…

『群像』『新潮』5月号

『群像5月号』 円城塔「烏有此譚」 円城作品って、デビュー作の「オブ・ザ・ベースボール」が一番読みやすく分かりやすく、そして後の作品になればなるほど、分かりにくくなっていっている気がする。 この話はお手上げ。 前半と後半の大きく二つに分けられ…

古川日出男『LOVE』

奥付にある著者略歴の欄にこうある。 本書は(中略)前作『ベルカ、吠えないのか』に対する猫的アンサーである。 目黒を中心とした、東京都のある範囲*1を舞台に、20人の男女と4匹の野良猫を描いた物語。 『ベルカ』が、全地球を舞台に50年の時間軸で物…

チャンドラー『さらば愛しき女よ』/円城塔『オブ・ザ・ベースボール』

『さらば愛しき女よ』 うちの大学の先生*1が、飲み会の席でレイモンド・チャンドラーを非常に熱く語っていた。 最近になって読み始めたらしいが、日本語版も英語版も全部読むくらい、はまったらしい。 とにかくこんなに素晴らしい作家はいないという感じで言…

戦後としてのゼロ年代

『民主と愛国』を読んでいて*1、そこに書かれている戦後日本の社会状況というものに対しては、別世界だという感覚しか持つことができないし、戦争体験というのもまあ想像不可能なものだ。 それにもかかわらず、そこで紹介される戦後思想の方には、惹かれるも…

『文藝2008夏号』

1998年から2007年にかけてデビューした133人の作家ファイル、ということで、思わず購入してしまった。 こういうガイド本を持っていればなんとかなるんじゃないか、と思ってしまうたちなわけです(^^; しかし、133人というのはなかなかすご…

小熊英二『民主と愛国』

いやあ、とにかく長かった。 しかし、難しいことは全然書いていなくて、読みやすい文章なので、非常にさらさらと読める。本が重たい*1ことを除けば、長さはあまり気にせずに読むことができると思う。 あと、何度も何度も同じことが繰り返し出てくるので*2、…

『哲学者は何を考えているのか』ジュリアン・バジーニ、ジェレミー・スタンルーム

イギリスで発刊されている一般向け哲学雑誌『フィロソフィアーズマガジン』に収録されたインタビューを、加筆の上収録した本。 まず、インタビューされている人のラインナップが豪華。 しょっぱなからシンガーで始まり、ドーキンス、ソーカル、E.O.ウィルソ…

入不二基義『時間は実在するか』

マクタガートによる、時間の非実在性の証明について解説すると共に、筆者自身による時間論も展開される。 これが、滅茶苦茶面白い! それにしても、時間について考えるということはなんと困難であることか。それはつまり、どれだけ人間が時間の中にどっぷり…

「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」

何千ページにもおよぶ日記や自伝などの書き物。15000ページを超える、おそらく世界最長の小説。多くが3メートル以上もある数百枚の絵。 (パンフレットより) とにかく圧倒される。 何にか、何にだろうか。ヘンリー・ダーガーという人が費やした膨大な…

知的情報メールマガジン「αシノドス」読みたい!

成城トラカレで有名な、荻上チキさんがメールマガジン「αシノドス」というものを、創刊したそうです。 詳しくはこちらをクリック! 創刊号はお試し版の無料配信*1 【1】巻頭コラム / 芹沢一也 「運動の時代と思想の不在」 【2】座談会 / 中島岳志×芹沢一…