2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

虚構実在論に対していくつか

三浦俊彦『虚構世界の存在論』を読んで、いくつか今考えていること。 基本的に、小説のことしか扱われていなかったけど、マンガ、映画、演劇などに同様に適用可能だろうか。 三浦が最後に展開する、現象主義=一世界説すなわち虚構実在論は、厳密に一つの作…

『グラン・ヴァカンス』飛浩隆

早川はとかく装丁がいいよね、装丁が。 この作品の場合、読み終わった後に見るとしみじみしますね。 実によく出来ていて、物語の面白さもテーマ性もよいのだけれど、あともう一歩インパクトが足りない気がした。衝撃を受けるまでには到らなかった、というこ…

ボルヘス『伝奇集』

そもそもボルヘスは何を目指していたんだろうなー [コメントを書く] gginc 『本当にボルヘスは何を目指していたんでしょう。』 まあわりと前から読み始めていたのが、読み終わったということで、この問いに答える試み とはいっても、何だか「眠い眠い」とい…

三浦俊彦『虚構世界の存在論』

分析哲学のアプローチによる虚構世界論。 と言われたところで、ほとんどの人には何のことかさっぱり分からないだろうが、問題設定自体はそれほど難しくない。 哲学には分析哲学と呼ばれるジャンルがある。 このジャンルは、もともと言語哲学というところから…

君たちは何故小説を書くのか/僕は何故評論を書くのか

今日は、図書館で『新潮』と『群像』(と『文學界』)を読んできた。 目当てはもちろんアレとアレなんだけど、まあそれの感想と最近思っているよしなしごとを絡めて書く。 『新潮』東・仲俣対談と佐々木敦の『1000の小説とバックベアード』論 『東京から考え…

クローズアップ現代「“環境革命”を目指せ」

レスター・ブラウン博士という人のインタビュー。 グレーの髪に赤い蝶ネクタイ、という、なんかいかにもアメリカの学者的な*1。 環境問題を解決するには、経済を作り替えなきゃいけない、という、そりゃそうだよなっていう話。 石油への依存をやめること (…

『分析哲学入門』竹尾治一郎

横組みの本は専門書っぽくてかっこいいなあ、と横組みの本を読むたびに言ってる。 全部で四部構成、伝統の形成、知識と自然、言語と意味、心の哲学となっている。 この英米分析哲学と呼ばれる分野の入門書としては、今までいくつか読んできたわけだが、この…

ついでに欲しいと言ってみる、あと双風舎

「フューチャリスト宣言」サイン本欲しい! 応募条件は、「ご自分の日記に本のレビュー(感想文)をお書きいただける方」 このブログは基本的に本のレビューしかしていないしね 梅田望夫と茂木健一郎の共著なんて自分じゃ絶対買わないけど、くれるなら読みた…

「存在するとは物語られることである」

この前、図書館の雑誌コーナーをふらふらとしていた。 普通に『新潮』だの『群像』だのを読もうと思っていたのだけど、図書館の雑誌コーナーを眺めていると、この世の中にはこんなにも沢山の雑誌があるのかと改めて思った。 図書館だと普通の本屋には置いて…

前田司郎(新潮)と中原昌也(群像)

『グレート生活アドベンチャー』 図書館で読みながら、何度となく吹き出しそうになる。 内容が面白いと言うより、言い回しが笑いを誘う。 逆に言えば、その言い回しの妙以上のものはないように感じる。 しかし、これは悪く言っているのではなくて、そういう…

高橋源一郎『あ・だ・る・と』

『日本文学盛衰史』を既に読んでいると、それの準備段階のような感じがしてしまう。 内面なんてないんだ、チクショーって話だし。 ただ何というかそれを、このスピード感のあるというのか、口語文体でだだーっと書いていっているのはある意味すごいのかも。…

スティーブン・ピンカー『言語を生み出す本能』

ピンカーは40歳を前にして天才と謳われた認知心理学者。その彼が軽妙な語り口で解説する言語の生得説。 上巻は主にチョムスキーの普遍文法、下巻はダーウィンの進化論をベースにして、人間の言語という能力に迫る。 上巻は上巻で面白いのだけど、出てくる…

SOIL&“PIMP”SESSIONS TOUR 2007 @ 日比谷野外大音楽堂

野音 雨天決行 ざあざあ降りの中行ってきました。まあライブの途中で雨は上がったんですけどね。 傘禁止なのでみんな合羽を着てたんですが、上から下まで準備万端フル装備の人もいれば、合羽も着ないでそんな格好してたら風邪引くよみたいな人*1までいました…

総合フィクション学

京都大学人文科学研究所とかいうところで「虚構と擬制」というテーマで共同研究しているチームがあるらしい*1。 虚構と擬制共同研究班home ここでは、「総合フィクション学(General Fictology)とでも呼ぶべきディシプリンの構築をめざ」しているらしい。 …

『言語哲学入門』服部裕幸

まさにその名の通りの本。 帯には、哲学や論理学の知識がなくても大丈夫、みたいなことが書いてあるが、それもその通り。 僕としても、言語哲学の話題はバラバラと知っているだけだったので、こうしてまとめて読めたのはよかったけれど、個々の話題としては…